出版社内容情報
シレジウス(一六二四―七七)はドイツ・バロック時代を代表する神秘主義的宗教詩人.そのほとんどが二行詩で書かれた『瞑想詩集』はおよそ千七百句から成り,深い瞑想をとおしてえられた人と神との同一性あるいは霊的合一性,人が神の領域に入る可能性などへの詩人の確信が美しくも簡潔なことばで告白されている.わが国初の全訳.
内容説明
シレジウスはドイツ・バロック時代を代表する神秘主義的宗教詩人。そのほとんどが2行詩で書かれた『瞑想詩集』はおよそ1700句から成り、深い瞑想をとおして得られた人と神との同一性あるいは霊的合一性、人が神の領域に入る可能性などへの詩人の確信が美しくも簡潔なことばで告白されている。わが国初の全訳。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けんとまん1007
48
神秘主義的宗教詩人の文字が、何故か、引っかかって借りた。キリスト教の教義を知っているわけでもないが、伝わってくるものがある。短い詩の連なりは、お互いに響きあうことで長い一遍の詩にもなると感じた。こちらも、あまり知見は無いのだが、ちょうど元旦に観た禅宗のお寺さんの番組(再放送で以前も観た)とも響くところがある。一日一日、一つ一つの行いを丁寧にやっていくことの大切さを考える。その先にあるのが、こころの有り様だろう。2022/01/02
にゃおんある
30
永遠は時間よりも長いと思い込んでいる人は苦しみの中にいる。瞬間の喜びこそが永遠なのだ。悩みは、自分自身で作り出すもの。辛い時間を超えることを考えるよりも、今この瞬間に身を置いて歓びの光にあたるのさ。明星のように太陽のもとで輝け。セラフィムの翼の如くシレジウスの言葉を身に纏うと神の国へ行けるような気がするんだ。わたしがなんであるか分からない。けれども選択の自由が与えられている。焼き立てのパンとコーヒーとメローなピアノ旋律の中、朝のイートインで本を読む。2018/04/07
プロメテ
12
「在る」「有」「唯一人格神イエス」というよりかは、グノーシス思想、プロティノス、スピノザ、ショーペンハウワー、ヴェイユなどと同等の深さと広さを感じる。以下備忘録。29 新しい生命を生み出さないような死、そのような死からは、わたしの魂は逃げ出してしまう。73 わたしがこの世に存在する以前、わたしは神の生命であった。だから神はわたしに対しても自身をことごとく与えてくれるのである。284 ケルビムが知っていることだけではわたしには不十分だ。わたしはさらに彼を超えて、何も知られていないところまで飛翔したいと思う。2023/11/27
暗頭明
7
第三章 229 おのれ自身を憎め。 わたしは自分を愛し、憎み、自分と闘っている。自分に打ち勝つためには策略と力が必要だ。わたしは自分を打ち砕き、殺す。どうすれば以前の自分でなくなるのか、どんな人間になるべきかを知るために。p.2422014/03/26
真竹
5
薔薇を見るのがわたしは好きだ。薔薇は純白であり、真紅であり、わが神、血の花婿と同じように、茨に満ちているからである。(第3章 84 薔薇。) 大学生の時よく読んだ一冊。様々な主題が美しい言葉で簡潔に書かれていて、詩集というよりは名言集のようにとらえて読んでいる。2016/11/05