出版社内容情報
ヒマラヤ山脈に流路を刻むツアンポー川.その流れに沿って,植物採集家たちは,東ヒマラヤ,チベットを旅する.短い夏に咲く花たち,湖や山岳地に棲む動物,外界から遠く離れて暮らす様々な民族と出合った,探検の記録.
内容説明
ヒマラヤ山脈に長い流路を刻むツアンポー川。多くの謎を秘めた東ヒマラヤ、チベットの峡谷部を、植物探検家たちは、1924年から1年にわたって旅した。厳しい気候や地形のもとで、短い夏に可憐な花を咲かせる植物、幻の湖や山岳地に棲む動物たち、外界から隔離された地域に暮らす様ざまな民族との出合いを綴った、探検の記録。
目次
チベット
ヒマラヤを越えて
ツアンポー、神秘な河
植物学的偵察
青いケシの国
サクラソウの楽園
シャクナゲの仙境にて
ペマコ―約束された土地
アッサム・ヒマラヤにて
失われた湖への旅〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
37
イギリスの植物採集家で探検家。本書は、東チベット、特にツアンポー大屈曲部の探検を扱っている。著者は、ヒマラヤ、チベットの研究者には知られている人物だとか。第一次大戦当時、兵役についた以外、生涯を通して定職につかず、プラント・ハンターとして生きた。ちなみに父は、ケンブリッジ大学の植物学の教授だったことも。 ヒマラヤ山脈の北西部はお、東西交流の要衝の地であり、砂漠地帯。比較的話題に上る地域でもある。一方、北東部は、水浸しの土地柄であり、高山であり、熱帯雨林気候であり、高山植物と針葉樹林地帯。 2019/03/16
雲をみるひと
23
プラントハンターによる今から100年ほど前のチベット、シッキム、インド滞在記。作者は発見に関してかなりの野心家のようで、専門分野である植物はもちろん、現地の地形やルートについても詳しく描写されている。訳者のスキルが高く、日本語に違和感もない。のちに角幡唯介氏が探検するエリアの往時の姿だけでなく、チベット、シッキムの当時の情勢や英国、インド、中国との関係を知る上でも貴重だと思う。2021/03/10
KAZOO
7
ツアンポー峡谷への探検を日本人でもしていると聞いてその本を読む前に古典ともいうべきこの本を先に読もうと思いました。植物ハンターである著者が様々な植物や動物や原住民に会いながらの紀行記を楽しませてくれました。2014/05/01
生きることが苦手なフレンズ
1
高校時代の読んで感銘を受けた角幡さんの『空白の五マイル』から入りました。やはり当時のアジア人蔑視は感じるものの、全体的には面白い読み物でした。でも、(著者の職業上仕方のないことですが)植物への言及が多くそこはくどかったです。写真もあり、ヒマラヤ、チベットの空気を感じられる(未だに行っていませんが)一作です。2012/10/25
yamaton
1
ヒマラヤ山脈の奥深く消えてゆく河、ツアンポー。はたしてツアンポーはどこに繋がっているのか?英国が誇るプラントハンターのキングドン・ウォードの冒険が今始まった!この世にはまだ未踏の地が存在していた、そんな古き時代の話。2010/01/16