出版社内容情報
戦国時代の中国,百家争鳴の世に現われて,孔子の教えを軸にしつつ,独自の思想を展開した孟軻の言行録である.彼は,人が天から与えられた本性は善であるという信念に立って,この天から万人に等しく与えられた本性を全面的に開花させるための実践倫理を示した.原文を短く区切って,読み下し文,口語訳,校注を付した.
内容説明
戦国時代の中国、百家争鳴の乱世に生き、孔子の教えを軸にしつつも独自の思想を展開した孟子(前372‐前289)の言行録。孟子は、人が天から与えられた本性は善であるという信念に立って、天から万人に等しく与えられたこの本性を全面的に開花させるための実践倫理を示そうとした。原文を短く区切って掲げ、訓読文・現代語訳・校注を付す。
目次
孟子題辞
巻第一 梁恵王章句・上
巻第二 梁恵王章句・下
巻第三 公孫丑章句・上
巻第四 公孫丑章句・下
巻第五 滕文公章句・上
巻第六 滕文公章句・下
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kawai Hideki
113
孟子の言行録をまとめたもの。四書五経の一つ。孟子と諸侯の王との会話が多く、政治に関する観念的なアドバイスが多い。また、孔子の頃より2〜3世代後なので、儒家に対する批判も磨かれてきているらしく、結構、鋭いツッコミも増えている。それらに対する「ああ言えばこういう」的問答の中で革命論や性善説が生まれ、ロジカルに磨かれていく過程が見え隠れしており、面白い。孟子は、非常にプライドが高く、常に正論でグイグイ押してくるので、クライアントの王から見ればやりにくいコンサルタントだっただろうなと思った。2016/02/22
Y2K☮
34
国も時代も異なる故に喪の期間など賛同できぬ点は多い。それでも根底の哲学は今も通用する。たとえば経済観念。かつての政治家は十分な収入のある人が無償で就くものだった。今は裕福な家に生まれ、尚且つ仕事からも高収入を得ている政治家が少なくない。こういう人が総理や財務相になれば平気で増税する。官房機密費を浪費し、福祉政策も頓珍漢な内容になる。大切なのは仁義と謙虚さ。今の日本は上も下もこれに乏しい。政治家がいないと困るけど、彼らだって生きる為には我々が必要。本性の善を恥じずに互いの立場を理解し、共に仁の国を創りたい。2018/05/08
Y2K☮
32
孫子や韓非子、墨子に比べるとより原則論。なおかつ世の建前を建前のままでは済まさぬという気迫に満ちている。一方で時代背景もあるにせよ、守るべき伝統と改めるべき因習を混同していると感じる場面も。本書だけを妄信したら視野の狭い学級委員的な道徳中毒や過激な原理主義に陥りかねない。だがエリートやリーダーを自負する者に対して驕りと怠りを戒める指南書となり得るのもたしか。日本の(特に与党の)政治家には「孟子」が足りないとすら感じた。至誠にして動かざるものは、未だこれ有らざるなり。吉田松陰の名言だが出典は「孟子」である。2022/08/16
wiki
14
中国の王道。「故王之不王、不為也、非不能也」と、そこまで立派でないので実践するには耐えぬと思う心をピシャリ。上に立つ者への指導は得てして厳しい。孟子は人に「惻隠の心」、つまり善性あるを信じ発信した。「豈好辯哉、與不得已也」と、個人主義や上下の弁えを持たない思想に吼え、先師たる孔子の教えに世を還らせんと言論戦を続けた志はすごい。孔子よりも思想的に鋭利な感がある。だが欲得深い権謀術数の歴史で、身を正し善を為せとの道徳は遂に実現される事はなく、孟子以後、儒家の理想を継ぐ者は絶えた。なぜ絶えたのか、一考すべきだ。2023/03/05
双海(ふたみ)
13
適当にページを開いて書き下し文を音読して楽しみました。(不真面目な読者です)2014/07/27