岩波文庫<br> 阮籍の「詠懐詩」について

岩波文庫
阮籍の「詠懐詩」について

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  • サイズ 文庫判/ページ数 132p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003315217
  • NDC分類 921.4
  • Cコード C0190

出版社内容情報

竹林の七賢の巨頭・阮籍は陰謀と詐術うずまく魏晋時代(三世紀)に生き,「詠懐詩」八十二首を残した.著者は,これを中国詩のうち最も調子の高いものだと評し,またその人物を敬愛してやまぬ.表題作は「詠懐詩」に斬新大胆な読みを加え,中国詩史上,五言詩が阮籍において真に一つの文学形式となったことを論証する. (解説 荒井 健)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

101
非常に良かった。やや難解な内容ながら、俗にまみれず、混乱した時代を凛として生きた一人の人物の生き方が伝わってくる。魏晋時代に生きた阮籍の詩の詳細な分析が書かれた本。阮籍は変人として生きたことが知られている人物。詩の分析を通して、阮籍の詩の斬新さが浮かび上がってくる。それまでは生に対して受け身だった詩の内容が、阮籍の作品では、主体的に生きようとする意志が感じられる、と著者は論じる。その意味で阮籍は、歴史上最も早い叙情詩人の一人と言えるかもしれない。彼の胸の中の想いは、現代人にとっても身近に感じられる。2017/11/01

金吾

17
短い本ですが中身は濃いように感じました。阮籍とそれまでの詩の違いを時代や視点においた点はよくわかりました。陶淵明に触れている部分もありますが、両者を比べると私は陶淵明の方が好みだなあと思いました。2021/07/24

零水亭

9
あまり好きな詩人ではないのですが(陶淵明の方が好き)、同じ「竹林の七賢」嵆康は刑死してしまうし、不安定な時代背景があったから仕方なかったでしょうか… 機会があれば再読してみます。

nori_y

6
阮籍の著作には矛盾した内容も含まれるのだとか。神仙世界へ強く憧れるものの、たまに懐疑的になってみたり、寧ろ人間らしいような気もする。漢の頃の詩との対比が興味深かった。阮籍の悲哀は次元が違う。著者の言うように阮籍が画期なのだろうか。「終身薄氷を踏む、誰か知らん我が心の焦がるるを」この圧倒的孤独感、焦燥感、絶望感…瑣末な疑問だが、司馬昭はこれらの詩を見る機会はなかったのだろうか。ちなみに阮籍は司馬昭の1歳上なんですね。阮籍が縁組を断らなかったら娘は後の皇后だったんだよなあ。2018/06/28

壱萬弐仟縁

3
3.11、原発事故があってから、本著を読むと、しみじみとした感情を抱くこととなる。「幸福の喪失という従前の五言詩がしばしば主題とするものを、悲哀の出発点として相続しつつ、それを人生の必然とまで拡大することによって、その悲しみを深めている」(p.59)。「胸には湯火を抱き足には薄氷をふみつつ、死へと推移してゆくのが、人生」(p.67)という、悲しくもそれが人生なのだ、ということが実感される内容。2012/04/15

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