出版社内容情報
「叙述は大概無遠慮にして露骨,他人を責むること酷に過ぎ,自己を評価すること重きに過ぎるなど,識者の顰蹙を買うもの少なからざるべし」-明治・大正・昭和の激動の時代を生きたマルクス主義経済学者河上肇(1879-1946)の自叙伝は,歴史的事件とそこに出没する著名人の姿を浮き彫りにした近代日本思想史である.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
花男
20
私は小さい頃と大学時代を著者の邸宅跡の祖母の家で過ごした。 あまりに身近であったからこそ中々彼の本を読む気にはなれなかったのだが、身内として知らないのは恥ずかしいと思い読んでいる。 私は夜叉孫であるが、彼の性格と似ていて頑固である。しかし彼はただの頑固者ではない。京大を辞職した際、学者は常識と闘争し打破していくことが、任務であり当然に常識から反発されると考えていた。しかし大学の一員としても大学の自治を擁護せねばならぬと考え大学の決議を受け入れ辞職したとある。このエピソードが読んでいて孫として誇りに思った。2022/04/18
Mr.deep
1
うん、めんどくさい人だ。そういえばこの人も京大関係者か2020/01/19
yagian
1
客観的な事実と相違している点もあるのだろうけれど、その人にとっての主観的な真実が書かれた自叙伝はおもしろい。第一巻は、河上肇の幼少時代、彼が特に懐いていた祖母が興味深い。若くして夫に先立たれ、前半生はかなり苦労した人らしい。しかし、孫である河上肇と暮らしていた時期には、夕食の時は、孫と若い「燕」と一緒に酒を飲んでいたという。2014/07/23