出版社内容情報
文政3年,江戸の町にふいに現れた少年寅吉.幼い頃山人(天狗)に連れ去られ,そのもとで生活していたという.この「異界からの帰還者」は,人びとの関心の的となる.知識人らと寅吉の問答による異界の構成作業の全記録.
内容説明
文政三年、浅草観音堂の前にふいに現れた少年寅吉。幼い頃山人(天狗)に連れ去られ、そのもとで生活・修行していたという。この「異界からの帰還者」に江戸の町は沸いた。知識人らの質問に応えて寅吉のもたらす異界情報を記録した本書は、江戸後期社会の多層的な異界関心の集大成である。生れ変り体験の記録『勝五郎再生記聞』を併収。
目次
仙境異聞
勝五郎再生記聞
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
姉勤
26
仙境異聞:寅吉という15歳の少年。8歳の時、卜(うらない)を志し、ある人物に弟子入りするも、実は山人(天狗、異人とも:今でいう超常なる人)で壺に入れられ天空高く飛び、修行場たる霊山(筑波山、岩間山など)を転々、俗世に舞い戻ったところを江戸の好事家に見つかり、著者である平田篤胤の門閥に引き止められ、その少年との質疑応答。神の事、天狗の事から、修行の事、咒の事、治療法はともかく、日常茶飯事まで細かく問い、寅吉は辟易しつつも答える。興味深いが、古文の活字化で、いと読み難し。2018/04/15
seraphim
12
江戸後期の国学者、平田篤胤がまとめた、異界の話。神に近い山人のもとで数年過ごし、帰ってきた少年寅吉。彼に異界のことを尋ね、聞いたことと、それの考証が書かれている。知識人達も、寅吉の話に興味津々だったことが窺えて、面白かった。ただ、文章が文語体のため、読むのに時間がかかった。「勝五郎再生記聞」は、勝五郎少年が話した前世の記憶がメイン。それと他の書物などにもあり、聞き知っている他の生まれ変わりの話も追加して、検証している。こちらも興味深く読んだ。2019/12/01
ピンガペンギン
9
「勝五郎再生記聞」が他の本で紹介されていて覚えていたので本屋で見つけて購入。1823年の著作とのこと。前世の記憶があると家族に話しだした子供のことを親が相手にしなかったが、ある時に子供が口にする村の事を調べてみたら、その通りで驚いた、という話。(病気で子供の時亡くなったので、前の家族が存命していた)別の本によると、ラフカディオ・ハーンが英訳して海外に紹介したとのこと。仏教のことは悪口しか言わない。もう一編はすごく長いので相当興味がないと読みにくいかも。坂東眞砂子が小説にしているらしい。 2022/11/20
ヴィオラ
8
なにより興味深いのは、書いてあることが事実かどうかではなく、少なくとも書いてる本人(平田篤胤)が事実だと思って書いてるって所。もちろん、仏教をディスってる辺りは、篤胤の計算や思惑もあるだろうけど、基本はノンフィクションという姿勢なのが良い。 文体が古くて最初は時間がかかるけど、読んでると慣れるから大丈夫(だと思うw でも、結局覚えてるのは「ワイワイ天王」と「夜になると光る◯◯」だったりして(^◇^;)2018/06/05
とんかつラバー
6
江戸の町に現れた!仙界帰りの謎の少年★寅吉★神道age↑age↑で仏教dis、神道家としての篤胤のフィルタが大きいのであろう。お布施の額で戒名決まるのは江戸時代の人もどうかと思ってたんだな。にしても読むのにすごいパワーいる。内容に興味があるだけなら角川ソフィアのほうがいい。2020/06/09