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岩波文庫
エピクロスの園

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  • サイズ 文庫判/ページ数 222p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003254363
  • NDC分類 954
  • Cコード C0198

出版社内容情報

作家アナトール・フランス(一八四四-一九二四)は思想的には懐疑主義の流れを継ぐ自由思想家といわれる.本書はその随想集.宇宙全体がはしばみの実くらいに縮んだとしても,人類はそれに気づくことはないだろうという「星」をはじめ,さまざまな題材を用いて洒脱にその人生観を述べている.芥川はこの書の影響を受けて『侏儒の言葉』を書いた.

内容説明

作家アナトール・フランスは思想的には懐疑主義の流れを継ぐ自由思想家といわれる。本書はその随想集。宇宙全体がはしばみの実くらいに縮んだとしても、人類はそれに気づくことはないだろうという「星」をはじめ、さまざまな題材を用いて洒脱にその人生観を述べている。

目次

断章
女子修道院について
昨晩、アルファベットの起原について幽霊と交わした対話
女子教育について
奇蹟について
カルタの城
エリュシオンの野にて
アリストとポリフィル―形而上学的言葉づかい
小修道院にて

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬弐仟縁

9
1895年初出。発表時期は、1886-94年(解説213頁)。社交界では、女は男の偉大な教育者(36頁)。手懐ける場か。読書では、自分の読みたいことを本の中に読む。すべてが読者の想像力(39頁)と指摘される。確かに、期待して読むものもある。真の喜びは苦悩の中にこそある(50頁)。人生は善いものであると同時に悪いものである(64頁)。アンビバレントな人生の性質。人生は広大な陶器製造所に似ている(70頁)。学校という鋳型かもしれないな。投げ捨てられるとは、社会から排除されれば引き籠るか、監獄行きか。2014/01/10

うえ

8
アウグスティヌスやルソーをも嘲笑するアフォリズムの魅力が強い。「人々の魂を最も打つ魅力は神秘の魅力である。ヴェールなくして美はない、さればわれわれが特に好むのも、やはり未知のものである。もしも人が決して夢をみることがなかったら、生活は堪えがたいものであるだろう。人生にある最もよいものは、人生がわれわれに与えてくれるところの、人生にない何とも知れぬものについての観念である。実在の事象はわれわれがどうにかこうにか少しばかりの理想をつくり上げるのに役立つ。それがおそらく実在の事象の最も大きな効用であろう。」2021/03/16

左手爆弾

5
進歩主義や科学主義への鋭い批判を持った、保守主義社・懐疑主義者の印象を受ける。例えば、て霊感を科学的にヒステリーだのと分析されることは好まない。合理的に見える哲学体系も実のところただの慰めにすぎず、むしろ役に立たないものこそが生きる上では重要だと説く。女性への見方は、今日的にはもはや差別としか言いようがないが、示唆には富んでいるかもしれない。人間はいくつかの自然法則を知ってはいるが、「全て」ではない。全てでない以上、実は何も知らない可能性は十分にあるといった指摘は、懐疑主義的だが極めて重要だろう。2016/10/22

Nemorální lid

4
反知性主義や反実証主義、反合理主義の中に『人生のかなしさ』(解説 p.211)を見たA・フランスはこれを愛した。否定的な著述の裏を流れる人間愛の心はA・フランス特有の哲学と言ってもいいと考える。自由精神に留まり続けた故に『未来において真に禍いな結果をもたらす行為でないと誰が知ろう?』(p.184)と世界を捉え直したからこそ、彼は徹底的に人間の齎す矛盾を、苦悩によって贖われる幸福を愛したのではなかろうか。単に懐疑主義的に陥ったのではなく、己が思う虚しさを嘲った。それこそ彼自身の『否定的な』の本意だと思う。2018/06/25

刳森伸一

4
前半は断章的エッセイ、後半はコント。前半、男女関係などについては偏見が多く、付いていけない点もあるが、良くも悪くも概ね手堅い内容で驚くような見解も少ない代わりに、強く否定したくなる見解も少ない。個人的には後半の方が面白かった。2017/10/26

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