出版社内容情報
喜劇作家としてのマリヴォーは十八世紀フランスの演劇史上,ボーマルシェとともに最大の地位にあり,ラシーヌ,ミュッセとともにフランスの三大恋愛詩人と称せられている.本篇は,結婚しようとする男女が期せずして召使に化け,相手を観察するという非現実的な前提のもとに恋愛心理の特殊な移り行きを描いたもの.一七三○年.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
lily
42
みすぼらしい格好で、あえて地位や財産を低く見積もってもらった時、相手の真意を見抜く心理分析の手法の一つとその成功例として、このライトにして深淵な愛の教科書を覚えておくと結婚にも失敗しないかも。やっぱり誠実さが最も大事でしょ⁉︎2019/07/13
きりぱい
5
恋の葛藤が描かれる喜劇。世の中の夫というものの二面性をやけに現実的に考え、結婚に懐疑的なお嬢様のシルヴィア。いいなづけの来訪に何を試みるか、この間読んだのが2編とも男装だったので、また仮装かと思ったけれど、今度は同性の侍女リゼットと身分を入れ替えっこ。それなのに何とやって来た向こうも・・となかなか面白い。もうこの辺で明かしてもいいんじゃ、と思うところでやめないシルヴィアに、自尊心をもっともっとと満たしたくなる女性の一面を見た。2012/08/30
秋津
4
マリヴォダージュは、原文じゃないとわからないのだろう。しかし、シルヴィヤのリアリストぶり面白いけど好きになれない。2016/04/17
ぴかけ
4
コミック「本屋の森のあかり」8巻でモチーフとなった作品。絶版本。 貴族の男女が許嫁と初顔合わせする際、召使と身分を交替し、相手を観察することで起こるユーモラスな騒動。 ストーリーはテンポがよくコミカルですが、自分が好きになった相手の身分違いに悩む繊細な恋愛心理も描かれています。 プライドが高い貴族の娘、したたかに恋愛の駆け引きをする状況はいつの時代も変わらないようです。2012/10/01
英助
3
男女の主人公が召使いに化ける。召使いもまたお仕えされる身分に。そして、互いに本当の身分を知った時、彼ら彼女らの愛は変わることがなかった。財産や立場など気にもかけずに。しかし、現実では難しいことだろう。なぜならば、財産や立場といったものがその人を愛せるかどうかの基準になることの方が多いからだ。それが悪いことだとは思わない、むしろ自然なことだと思う。お金がなければ幸せにはなれない。だからこそこういう非現実的で理想的なラブストーリーというのが人々に愛されるのだろう。そうありたいものだなあと。。。2017/10/02