岩波文庫
水晶 他三篇―石さまざま

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  • サイズ 文庫判/ページ数 315p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003242230
  • NDC分類 943
  • Cコード C0197

出版社内容情報

精緻な自然描写で知られるオーストリアの作家シュティフター(一八〇五―六八)の短篇集『石さまざま』より四篇を精選.ことに,あつい氷に閉ざされた雪山の奥深くさ迷う可憐な兄妹の姿を描く「水晶」は,人々の深い共感をよびさまさずにはおかないであろう.他に「みかげ石」「石灰岩」「石乳」を収め巻末に『石さまざま』の「序」を付す.

内容説明

精緻な自然描写で知られるオーストリアの作家シュティフターの短篇集『石さまざま』より4篇を精選。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

カフカ

58
タイトルに石の名が付く短篇が四篇収録された作品集。 どれも自然描写が豊かで、素朴で心清らかな登場人物に癒される。 特に「みかげ石」、「石灰石」のおじいさんや牧師の、長い人生を経験した上で悟ったことを語り継ぐ様子が自分に語ってもらっているようで良かった。 作品内にペストの話が出てくるのだけれど、私はペストについて学んだことがないのでこれを機に学んでみたい。 まずは長らく積んでいるカミュの「ペスト」を読んでみようと思う。2023/12/06

neimu

27
表題作の「水晶」を読んだのは、実は子どもの時。まだ小学生だったので、「濃いコーヒー」の味を知らず、どんなに眠気を覚ましてくれるのか、大人になるまでずっと知りたかった一品。ハタンキョウってどんなたべもの? とか。でも、その土地に馴染むのに子供を産んだだけでは駄目で、こういう事件を通じて人様にご迷惑をかけて持ちつ持たれつになる夫婦、家族の在り方を今でもしみじみと振り返る。その村の人になるのって大変。そして、今でもこの洞窟で過ごしてみたいという気持ちは消えない。

なる

25
「水晶」「みかげ石」「石灰石」「石乳」といった石をテーマにした物語四編。とはいいながらもそれらは話を構成するパーツであり激しく主張するわけではなく寄り添う。自然の一部として。アルプスに住む人々のささやかな物語として牧歌的な気分を呼び起こしながら読み進めて行ける。個人的にはシュトルム『みずうみ』やヘッセ『郷愁』に似た水面に立つさざ波のような静けさを思い出す。動物ではなく植物のような小説、なんて言い方で伝わるだろうか。2020/07/28

アムリタ

14
彼は画家でもあり、詩人で哲学者でもあった。 この本を読み、そう思わずにいられない。 個人的には「石灰石」の牧師の生き方が強く印象に残っている。人としての真のありよう。静かで貧しく、目立つこともない。死にたえたような静けさ。憧れる。 人は遠いものに憧れるのだ、と思う。少しでも近づきたいと希うのだ。そういう意味でシュティフターは宗教的でもある。 現代はすべてにおいてこの世界観の対極にある。2020/09/22

paluko

13
「心が洗われる」とはあまりに陳腐な表現だが、床に就く前に一篇ずつ読んでいくといい具合に心身がリセットされる。「『石さまざま』の序」で著者は「すべての人間は他のすべての人間にとって一個の宝石であるゆえに、万人が宝石としてまもられんこと、を欲する法則」(284頁)について述べており、全作品をこの強固な信念が貫いていることがうかがわれる。しかし教条的には感じられず、風景情景の描写にひきこまれるのは、シュティフターが画家でもあったためだろうか。いつも外される『電気石』『白雲母』のあらすじも306頁~に紹介あり。2023/10/03

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