岩波文庫
ナイティンゲール伝 - 他一篇

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  • サイズ 文庫判/ページ数 197p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003228111
  • NDC分類 289
  • Cコード C0123

出版社内容情報

文学として読むにたえる伝記を書きたいというストレイチー(一八八〇―一九三二)の野心が生んだ『著名なヴィクトリア朝人たち』から表題作と「アーノルド博士伝」を選訳.大英帝国の隆盛に貢献したこれら偉人たちの実像が巧みな筆致でヴィヴィッドに描かれるが,その行文の裏には作者のヴィクトリア朝に対する嫌悪がかくされていた.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まりお

49
「悪魔が彼女には取り憑いていた。」と言うとんでもない一文から始まるナイチンゲールの伝記。頭の固い連中と古臭い看護体制をいかに打ち砕き、滅茶苦茶にして今に繋いだか。とにかく苛烈だった彼女がいかに苛烈だったか、この著者の書き方が良いからか十分に分かる。2018/03/25

Hiroaki Matsuyama

4
クリミア戦争の負傷兵に対して医療体制を整えた。彼女が来る前の病院は「あらゆる形をとった欠乏と放置と混乱と悲惨」であったが、物資の供給、衛生、建築を整え、秩序をもたらした。彼女がすごいところは、役人への事務手続きを莫大に裁き、目的を達成するための根回しをし、予測を不断に行い対策するなど、病院の管理・運営のため尽力していったところと思う。2015/11/18

greenman

3
伝記としての内容は、ツヴァイクの「マリー・アントワネット」と対をなす素晴らしさ。ナイティンゲールの性格の激しさと鋭すぎる知性が、凡庸な保守派を少しずつ打ちのめしていく様は圧巻。彼女の一貫した精神と知性は敵を徹底して攻撃し、自分の方へ有利な状況を作ると同時に、彼女に味方してくれる同士をも消耗させていく。問題は、現代の日本人には「ヴィクトリア朝」について感性がいまいち捉えにくいところがあることだ。特に後半の「アーノルド博士伝」は、19世紀のイギリスについて土地勘がないとわかりにくいように感じる。2011/08/25

えすてい

2
ナイチンゲール、まさに「悪魔に憑りつかれた鬼ばばあ」である。子供向け伝記では到底書くことができない狂気。でも、それがなかったらナイチンゲールは後世に名を遺す仕事ができなかったのも確か。表紙の写真からは想像もできないが、この顔からどんな声で恐ろしい発言を乱発していたのか、知りたくなってきた。アーノルド博士は、この本と出合うまで全く知らなかった人物であるし、パブリックスクール自体が日本の教育システムとは全然異なるものだから馴染みがないが、ストレイチーにとっては因縁のあるところだったのは間違いない。2018/01/19

nasuken

2
ナイチンゲールは信念の人であった。目的のためには手段を選ばず、使える人間は死ぬまで酷使し、適切な場面で自らに使えるカードを切る冷静さも兼ね備えている。戦中の活躍はよく知られているが、戦後の病院改革のための戦いの方が印象的であった。2016/04/18

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