出版社内容情報
「シェークスピアのシーザーは,本当のシーザーの不条理への変形であるが,わたしのシーザーは,自然と歴史への復帰である」.ロマンに満ちた英雄的な面と同時に,弱い面をもつ人間としてのシーザーを描きだしたこの戯曲は,作者(一八五六―一九五〇)独特の英雄観を表わしている点でも大変興味深い.「清教徒のための三つの劇」の一つ.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
viola
5
ヴィヴィアン・リー主演の同名映画を購入しようか迷い、先に原作を、と読んでみました。シェイクスピアの『ジュリアス・シーザー』に対抗して書いたものだそうですね。翻訳がかなり古くてとっつきにくいということもあるけれど、全体的に全然面白くないと感じてしまいました・・・。『ピグマリオン』もあまり好きじゃなかったし、バーナード・ショウとは合わないのかも。2011/03/29
KUMAGAI NAOCO
0
シェークスピアのジュリアス・シーザーに対抗して書かれたらしい、バーナード・ショーのシーザー&クレオパトラ。どうしてもピグマリオン(マイ・フェア・レディ)の先入観があるせいか、クレオパトラが無邪気な子供(少なくとも16歳よりはずっと下)に感じてしまう。シーザーが下心のある初老のようだけど、自分がエジプトを去る代わりにアントニー(=アントニウス)をやる、と言うセリフに、その後の史実を彷彿とさせて、何か切ない。2013/07/17
荒野の狼
0
ショーが脚本も書いた1945年の映画「シーザーとクレオパトラ」を鑑賞後、戯曲版である本書を手に取った。ショーは戯曲に長い序文や注釈をつけることで知られているが、本書にも「註釈」が14ページついている。あとがきでは、“シーザーが他の人間にまさっているのは、彼がより多く愛するからではなく、彼がより少なく憎むからだ。シーザーが寛大なのは、彼が他人をゆるすほどの人情家であるためでなくて、復讐するほどの人情家でないからだp213と解説され、シーザーは「消極的ばけもの」でクレオパトラを「積極的ばけもの」としている。2020/05/16