出版社内容情報
双生児の兄妹を中心に「人違い」の面白さをうち出したこの喜劇には,初期の喜劇に見られる粗野は影をひそめ,しかも創作力の衰退を感じさせる晩年の諸作とちがって瑞々しい生気が満ちあふれている.いつの時代どこの国でも素直に受け入れられる,シェイクスピア最高の喜劇.上演台本として入念に仕上げられた翻訳である.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
140
読了後もタイトルの意味はよくわからなかったのだが、解説によれば1月6日の3聖王礼拝の日の前日のことであるらしい。つまり、すこぶるおめでたい日のおめでたいお話ということなのだろう。劇は基本的には舞台向きかと思われる。すなわち、見方を変えれば戯曲として読んだのでは、今一つ面白さが伝わらないということでもある。双子の取り違えによる混乱という趣向では「間違いの喜劇」もあるし、この作品固有のものでもない。また、「とりかえばや物語」のような面白さもあるものの、「シェイクスピア最高の喜劇」というのはいかがなものか。 2014/02/06
lily
98
プロポーズさん、どうぞよろしく。名言一等賞。どんな相手でも呼びたくないね。プロポーズで立ち向かって口説いて求愛してやらかして...手順多くて複雑で大変だな。指輪で3割増しくらいYesにさせてしまうのかな。2021/05/01
紅はこべ
22
シェイクスピアの喜劇では一番好き。『ハチクロ』に先立つ遙か昔に描かれた片思いの連鎖のドラマ。特にヴァイオラがいじらしい。シェイクスピア十八番の男装の麗人の中ではヴァイオラ扮するシザーリオがピカ一。セバスチャンとアントニオの関係はBL愛好者は萌えるかも。
tokko
21
三角形の一つの点が二つに分かれて丸く収まる。とてもわかりやすい筋で読んでいて全く不安を感じさせない、安定した面白さ。訳がやや古いのと、翻訳自体が現代にそぐわない箇所があるのが難だけれど、まぁそれも含めてシェイクスピアを読む楽しさでしょう。2017/05/04
TSUBASA
20
難破してはぐれた兄妹。妹は男装をして公爵の元へ仕えるが、内心公爵に想いを寄せている。一方で公爵は伯爵家の姫に懸想をしているが、姫は男装をしたしもべに恋心を寄せる。そこに勘違いの執事や生き別れた兄が現れて…。シェイクスピアの「人違い」喜劇の最高峰。もはや現代ではよくあるネタだけども、ここまで人違いを交錯させる劇はなかなか無いように思う。見た目の人違いから筆跡を似せることでだます人違いまで色々。ボケッと読んでるとこっちまで誰が誰と勘違いしてるのかわからなくなってくる(笑)2015/03/13