出版社内容情報
陶淵明(三六五‐四二七)といえば人は「帰りなんいざ,田園まさに蕪れなんとす」の一句を想いうかべ,酒を愛したのんきな田園詩人といったイメージを描くだろう.ところがどうして,そんなイメージをもってしては到底おおえぬ複雑な振幅の持主であることを何よりも作品が語っている.全作品の原文・訓読文に注・現代語訳をくわえた.
内容説明
陶淵明(365‐427)といえば人は「帰りなんいざ、田園まさに蕪れなんとす」の一句を想いうかべ、酒を愛したのんきな田園詩人といったイメージを描くだろう。ところがどうして、そんなイメージをもってしては到底おおえぬ複雑な振幅の持主であることを何よりも作品が語っている。全作品の原文・訓読文に注・現代語訳をくわえた。
目次
巻1 詩四言
巻2 詩五言
巻3 詩五言
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スプーン
38
中国の詩人の隠遁歌集。恋歌などの俗歌は一つも無く、ただただ、世間を儚み、酒と自然を愛して、哲学しておられます。これを読むと、漢詩は現代日本人の心の安定剤になりえるのでは?と思ふ。2019/06/13
双海(ふたみ)
21
「有琴有書 載弾載詠」・・・やっぱり書物って朗読するものなのですね。2015/02/16
ikedama99
8
寝床で読む本。読んだのはもっぱら書き下し文と解説だけど。表書きにもあるように、決して田園詩人ではなく、生活に苦しんだような人物だ。もっと知りたいし、詩を読みたくなった。2023/05/15
kokekko
7
1989年に発売された全集。有名な詩人なのに文庫本上下巻で「全集」になってしまうことにおどろいた。次にとっつきやすさに驚く。仕事がつらいけどまあ頑張る、でも頑固な自分は変えられないというぼやきなど、あちこちで見かける愚痴みたいにも読める。そういう中に「まあでも1000年後のことなんてわからないんだし」と、現代の読者をぎょっとさせるような言葉もまじりこんだりする。ミクロコスモスとマクロコスモスをふらふら行き来する感覚が面白い詩人だった。字面も美しい。2018/03/10
ville
3
本の中に知っている感情を見つけることは読書の楽しみの一つだけれど、陶淵明の孤独ほど共感できるものはない。2009/07/05