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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
284
7つの短篇からなる。白眉はやはり「抒情歌」だろう。文体は典型的な川端のものであり、小説の全体を覆う、かそけき風情もまたそうである。「わたし」から死者である「あなた」への密やかな語りかけ。「死人にものいひかけるとは、なんといふ悲しい人間の習はしでありませう」に始まり「悲しい人間の習はしにならつて、こんな風に死人にものいひかけることもありますまいに」で静かに閉じられる。ここにあるのは、ひとえに諦念だろうか。あるいは、人間であること(女であること)の持つ悲しみなのであろうか。2023/04/09
双海(ふたみ)
17
正かな遣、正漢字。死んだ恋人との交情を描いた「抒情歌」。「あなたのために棄てる命が惜しいのではありません。死んで一莖の野菊にでも生れかはれるものなら、私は明日にもあなたの後を追ふことでありませう」2014/10/24
桜もち 太郎
16
昭和初期の短篇七作品。既読の作品が多かったが、何度読んでも味わいがある。「死人にものいひかけるとは、なんという悲しい人間の習わしでありませう」ではじまる「抒情歌」がとくに良い。愛する男の裏切りと死。その男への長い手紙のような感じ。残された女の繊細な心がいじらしい。人をここまで美しく深く愛せる、そんな気持ちなんてとうの昔に忘れてしまったなぁと。やはり川端康成があらわす乙女心は絶品だ。→2015/05/29
vagabond
0
面白かった2019/07/17
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- 和書
- 中国の死神