出版社内容情報
秀才だが世才に乏しい文三の失職を機に,従妹お勢の心は軽薄才子の昇に傾いてゆく.自意識過剰の中で片恋に苦しむ文三の姿を中心に各種の人間典型を描きながら,官僚腐敗への批判をひらめかせている.最初の近代リアリズム小説であり,その清新な言文一致の文体は明治文学の出発点となった.明治二十―二十二年作. (解説 中村光夫)
内容説明
真面目で優秀だが内気な文三と、教育ある美しいお勢は周囲も認める仲。しかし文三の免職によって事態は急変、お勢の心も世知に長けた昇へと傾いてゆく。明治文明社会に生きる人々の心理と生態を言文一致体によって細緻に描写し、近代文学に計りしれない影響を与えた二葉亭四迷(1864‐1909)の記念碑的作品。
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