出版社内容情報
劇作家として知られる著者が『マクベス』や『オセロー』のせりふを精読.芝居のリアリティを構築する言葉の響きとリズム,観客の想像力をかきたてるイメージやシンボルに着目し,シェイクスピアの今日性をうかびあがらせる.
内容説明
劇作家であり、シェイクスピアの翻訳者でもある著者が『オセロー』や『マクベス』を精読。芝居のリアリティを構築するせりふの音韻や文体、観客の想像力を触発するイメジャリ(心象)などを分析し、シェイクスピアのせりふがもつ「ことばのエネルギー」を日本語に移すための翻訳の工夫、デクラメイション(朗誦術)の重要性を語る。演劇的感受性がよみがえらせる今日的シェイクスピア。
目次
1 シェイクスピアと日本語
2 劇場的想像力
3 四大悲劇の周辺
4 理解の位相
5 今日的シェイクスピア
6 いくつかの場面について
7 デクラメイション(強いて訳せば朗誦術)について
8 日本語とシェイクスピア―生命力としての言葉
シェイクスピアの翻訳について新しく考えていること
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
viola
5
久々の読破・・・。ある論文の参考文献に使われていたので読んでみました。だからてっきり専門書だと思って取り寄せたのだけれど、実際はシェイクスピアについて気楽にしゃべったゼミナール(1971年)の内容で、専門的ではあるのだけれどエッセイ調なので非常に読みやすく、分かりやすい。初心者にも良いのではないのでしょうか。戯曲家で、シェイクスピア翻訳家で、研究者でもある(でも本人は否定しているみたい?)木下順二氏だからこそ書けた内容であることに間違いはないです。目の付け所が違う。『マクベス』関連が多め。2012/02/22
kao
2
★4.7 著者の木下順二氏は「夕鶴」の作者。なるほど納得!「韻」を踏む言葉の美しさを教わった。シェイクスピアの≪ブランク・ヴァ―ス(無韻弱強五脚)≫が作品の中で果たしている力がやっと分かった。シェイクスピア作品は小説である前に語りなのであった。日本語とシェイクスピアというテーマで読んでもとても勉強になる。刊行が1973年!にも驚いた。今読む価値も十分ある、名研究書だと思う。 2019/05/12