出版社内容情報
日本人はいま中国の古典を,漢学者的ではなく,実用主義的にでもなく,虚心に真剣に読むべきである.水滸伝,論語,魯迅……中国的思考の影の部分「対の思想」を語り,単純な日本的発想を対比する複眼的中国文学論集.
内容説明
日本人はいま中国の古典を、古来の漢学者的ではなく、当世風の実用主義的にでもなく、虚心に真剣に読むべきである。中国の現在を読み誤らないために…。水滸伝、論語、魯迅などを中心に、中国的思考の核心である、影の部分「対の思想」を語り、単純な日本的発想を対比する複眼的中国文学論集。
目次
対の思想―あるいは影の部分について
日本人の中国への憧れについて
『論語』が今なぜ読まれるか
勧懲小説と服務小説
大岡政談の虚実
中国の説話と『今昔物語集』
『雨月物語』と中国小説との関係について
「杜子春」と「杜子春伝」
「大衆」という言葉について
隠者たち
水滸伝解題
翻訳と語りなおし
関羽の顔の「重棗」について
魯迅
『野草』―その一つの読み方
「非攻」と『墨子』
魯迅の「起死」について
魯迅の「鋳剣」について
「藤野先生」における真実
日暮里とニッポリ
桜と幻燈
中国の「小説」概念
中国古典文学と日本文学―その相違について