出版社内容情報
人格の成熟はどのような過程をへて実現されるのか．豊富な臨床経験をもつ精神分析医が，病める者への共感をもとに，ユングの自己実現とフェアベーンの対象関係論をとりこみつつ平易に論じる自己分析，教育関係者の必読書．
内容説明
人格の成熟はどのような過程をへて実現されるのか。豊富な臨床経験をもつ精神分析医が、病める者への共感をもとに、ユングの自己実現とフェアベーンの対象関係論をとりこみつつ平易に論じる現代精神療法への格好の入門書。
目次
第１章 自己実現
第２章 人格の相対性
第３章 成熟した人間関係
第４章 人格の発達
第５章 生まれ出づる人格
第６章 同一化と取り込み
第７章 投射と解離
第８章 同一化と投射
第９章 異性愛と真の人間関係
第１０章 精神療法の過程
第１１章 転移と逆転移
第１２章 精神療法と洗脳
第１３章 人格の完成
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
呼戯人
11
ユング派に近いがユング派とは一線を画す著者による深層心理学的な成熟への道標。若い頃は実感できなかったが、今になって思えば人格と言うものも成長し、成熟してゆくものであるということを実感できるようになった。そういう観点から読むととても面白い本である。ユングと同様、人生の目的を自己実現と捉えており、それは自我ではなく自己（セルフ）の成熟という形で現れて来る人格の自然な成長の過程である。私は最近になってこのことを自分の肌身を通して実感できるようになった。未熟な時は、自分の未熟性に捉われているのである。2016/02/20
sakesage
1
家族やパートナー、学校から宗教、政党、会社、ひいては国家というものまであらゆる組織は、おしなべて未成熟な事の方が多いように思う。ひとつは恐怖や不安を植え付け支配下においたり、パラノイア的に差別や迫害が平然と生まれる。その背景にあるものを著者は、精神分析学的な見地から容易に説明していく。ことある毎に再読したい。2018/10/23
Yuki
0
近代科学観を超えた相対主義的立場をとっており、柔軟かつ積極性を感じる著述。「自我の、自己への宗教的態度」に納得。2015/04/11
