出版社内容情報
古代オリエントに誕生し,人間の歴史にはかり知れない影響をおよぼした壮大な物語の殿堂が,現代の日本語によみがえる.宇宙の創成,民族千年の興亡,終末観に閉ざされた社会と文化,愛のよろこびに震える魂の歌-ここにはすべてがある.旧約聖書学の進展を踏まえ,最前線に立つ気鋭の訳者陣が渾身の力で取り組む,画期的な新訳.
目次
ダニエル書
エズラ記
ネヘミヤ記
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
63
バビロン捕囚期と捕囚後の歴史を見ることができました。古代イスラエル史において暗黒とも言える時代が思想的、神学的側面で描かれているのが興味深いところです。捕囚を経てイスラエルが建国されることも考えると、歴史書として学ぶべきところは多い書物と言えますね。2017/12/11
きゃんたか
19
歴史認識は不可欠だが、仮構によらねば表現できないものもある。ダニエルが受けた黙示がそのようなものだった。獅子のように大国が興亡する中で、聖なる神殿を荒らし回る者が現れ、忌まわしい食肉と偶像崇拝を強要しようとする。その時こそダニエルの知恵が肝要だ。一時の権勢に屈する者には永久の恥辱と滅びを、あくまで忍耐する者には永遠の命を、神は各々の信仰に応じてお与えになるから。マカバイの独立を引き起こしたシリア王エピファネス4世の神殿冒涜を預言した本書は、もう一方で死者からの復活とイエスの再臨を初めて公に記録した。2017/10/26
讃壽鐵朗
6
ユダヤへ対するバビロンの諸々を理解できた2015/11/21
しいかあ
2
ダニエル書は捕囚期を舞台にした物語。エズラとネヘミヤは捕囚後、イスラエルに帰還して神殿を建てる話。「預言者」の中でもある程度捕囚の状況は描写されたが、ダニエル書を読むと捕囚といってもある程度自由に活動できたことがわかる。実際に多少なりとも政治的な影響力も持っていたのかもしれない。エズラとネヘミヤは内容的にも関連が深い。帰還民とイスラエルにとどまった民との間の確執、また、周辺部族との軋轢などわりと第二次世界大戦後のイスラエル建国の時にも見たような光景が繰り広げられる。歴史は繰り返すのだなあ。2015/04/22