出版社内容情報
日本列島の内外には,互いに異なる社会組織体系が出会い,葛藤し,入り交じる地点(接触領域)が存在してきた.それらの多種・多様な接触領域をとらえなおし,そこから立ち現れる新しい日本の歴史像を描き出す.
内容説明
列島をつなぐ地域、列島をひらく地域。一国史の枠組みを超えて。異なる社会が出会い、入り交じる「接触領域」から立ち現れる新しい歴史像。
目次
古代北海道地域論
韓国木簡論―漢字文化の伝播と受容
古代接触領域としての奥六郡・平泉
東アジア海域論
中世・近世アイヌ論
対馬―通交・貿易における接触領域
近世琉球王国と東アジア交流
漂流と送還―近世日朝間の事例を中心に
東アジアにおける雑居と居留地・租界
環日本海交通圏
太平洋の「地域」形成と日本―日本の南洋群島統治から考える
近代日本における国籍と戸籍―「日本人」の創出と支配
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takeshi3017
3
岩波書店の歴史本第20巻。本編は終わりここからはテーマ巻。第一巻では地域論が論じられる。古代北海道地域論、韓国木簡論、古代接触領域としての奥六郡・平泉、東アジア海域論、中世・近世アイヌ論、対馬、近世琉球王国と東アジア交流、漂流と送還、東アジアにおける雑居と居留地・租界、環日本海交通論、太平洋の「地域」形成と日本、近代日本における国籍と戸籍、海外神社論など。詳細→ http://takeshi3017.chu.jp/file9/naiyou30320.html2021/09/07
さとうしん
2
北海道・対馬などの辺境や対外交易に関する論考を収める。「環日本海交通圏」では満州国への海上交通を念頭に「日本海を我らの湖水に」というスローガンが謳われ、それが戦後日本海沿岸の自治体とロシア極東地域との友好につながったことなどに触れる。「近代日本における国籍と戸籍」では最後まで国籍法案が制定できなかったこと、中国人が不法営業や脱税の摘発を受けた際に日本の保護を得るため、中国国籍を保持したまま植民地台湾の戸籍を取る動きがあったことなどに触れる。月報は羽田正氏のグローバルヒストリーに関するものなど。2015/01/25