出版社内容情報
盧溝橋事件から始まった日中戦争は泥沼化し,日本は勝算のない対英米戦争へと突き進んでゆく.戦局の進展に伴い深化・膨張していった総力戦体制と「大東亜共栄圏」が敗戦によって崩壊し,連合国の占領下,戦後日本の枠組みがつくられるまでの一九四〇年代の歴史を,政治・外交・経済・文化など様々な側面から描き出す.
内容説明
戦中と戦後/連続と断絶。総力戦体制と「大東亜共栄圏」の形成と崩壊を経て、連合国の占領下、戦後日本の枠組みがつくられるまで。
目次
大政翼賛会の成立から対英米開戦まで
戦局の展開と東条内閣
総力戦の遂行と日本社会の変容
戦時統制経済
「大東亜共栄圏」論
戦時・戦後農村の変容
戦争と大衆文化
象徴天皇制の形成と展開
占領と戦後改革―対日労働政策を中心に
著者等紹介
吉田裕[ヨシダユタカ]
1954年生。一橋大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆう。
23
日本の戦前体制翼賛会などの総力戦体制から戦後占領期までを歴史学の視点から分析された本です。個人的には日本の知識人や政治家などが、天皇制権力と日本資本主義の帝国主義的性格に野放しで積極的役割を果たした人ではなく、抵抗を示しながらも総力戦体制に組み込まれていく過程を学びたく手に取りました。大政翼賛会の「革新性」とは何なのかなど、学べたように思います。また戦後占領期の象徴天皇制の役割などは興味深く読みました。歴史学はとても難しいですね。もっと勉強しないとと思いました。2017/02/23
勝浩1958
7
本書はかなり専門的内容が記載されていて、私には難解でした。添付されていた岩波講座『日本歴史月報17』の油井大三郎氏が寄稿している「戦争の記憶と歴史修正主義」の一節では”一九五二年発効のサンフランシスコ講和条約の一一条では東京裁判の判決の受け入れを日本側が約束して、主権を回復したのであり、東京裁判判決の否定はサンフランシスコ体制の否定につながり、戦後の日本の在り方を大きく右旋回させる危険をともなっている。”と述べています。でも最近はまたまたアメリカ追従のように思えるのですが、なにがなんだか分かりません。 2015/06/27
takeshi3017
3
岩波書店の歴史本第18巻。日中戦争の泥沼の中から対英米戦争に突き進んでいく日本。戦前、戦中、戦後の3つの時期を軸に政治・外交・経済・文化など様々な側面から描き出す。そして戦後焼け跡の中からの再生とGHQによる間接統治、憲法9条など日本の枠組みを作っていく過程を追う。詳細→ http://takeshi3017.chu.jp/file8/naiyou30318.html2021/08/19
へんかんへん
3
ハル・ノート、ピュリッツァー賞、ジョン・ダワー、ジョン・ラギー、埋め込まれた自由主義、カール・ポランニー、リチャード・ガードナー、ドッジライン、2016/09/08