「知」の欺瞞 - ポストモダン思想における科学の濫用

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  • サイズ B6判/ページ数 338,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000056786
  • NDC分類 104
  • Cコード C0010

出版社内容情報

世界中で大論争を巻き起こした前代未聞の偽論文事件.論文の著者ソーカルの真意はどこにあったのか.本書ですべてが明らかにされる.ポストモダン思想の著述に見られる科学術語の明白な濫用・誤用の数々.なぜ起こるのか.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

白義

9
文庫化記念としてハードカバーで一足お先に再読。これは、科学、人文学の本という以上に、それに関わる人への教育の本だという気がする。科学用語で人を煙に巻き、神秘主義になることがなぜ不味いか、そうした非合理が学問と社会にどんな悪影響をもたらすか、を真面目に考えた、センセーショナルな扱われ方とは裏腹の丁寧な本。ポストモダン哲学全否定の書ではないし、ましてや科学の人文学に対する優位を謳った本でも、全くない。そういう意味では、批判者にも信者にも実はあまり適切に読まれていない本なのかも2012/02/04

gill

5
これは強烈な本でした.著者の皮肉のセンスにかなり笑わせてもらいました.科学的概念や術語を濫用して,読み手を困惑させつつ何か深淵なことを言っているフリをする衒学的なテクストを「分析」していく本書.引用したテクストに登場する数々の専門用語の使い方が全く正しくなく,意味をなしていないことを明解に指摘していくのが痛快でした.確かに,あることを主張するのに,わざわざ何の関係もない科学概念を持ち出す例をよくみます.著者のいうように,それらの多くが皮相な博識ぶりを誇示しているに過ぎないのでしょう.2016/11/30

ゲニウスロキ皇子

5
修士論文を書いているときにお世話になった本です。論文を書いているとどうしても自分もよく知らないけどカッコいい概念で、その見栄えを良くしたいという誘惑に駆られることも多々あります。ですが、そんな時はこの本に目を通して、自分の考えの浅はかさや愚かしさを戒めていました。知に誠実でありたいと考える人間ならば読んで間違いのないほんでしょうね。2011/02/17

うえ

4
ファイヤアーベントへの批判はまた違った観点からの批判。「ファイヤアーベントを読む際の主要な問題は、彼の書くことを、どこでどの程度真に受けるべきかということだ。一方では、ファイヤアーベントは科学哲学の世界の宮廷道化師のようにみなされていたところがあり、彼自身もその役割を演じるのを楽しんでいた節がある(…「ラカトシュは、冗談めかして私をアナーキストと呼び、私もアナーキストの仮面をつけることに何の異存もなかった」と書いている)。折に触れて、彼は自分の言葉を額面どおりに受け取ってはいけないと強調している。」2023/09/15

Mentyu

4
ソーカル事件で有名な一冊。人文社会学が自然科学の用語を濫用することと、自然科学をひとつの言説に過ぎないとする見解を糾弾する。前者の話は有名なので、むしろ後者の方が興味深かった。筆者らは科学者の主観や社会的環境で研究が左右されることを認めるが、だからと言って一定の手続きを踏んだ知見を安易に棄却すべきではないと警告している。自然科学と同じ境遇にある学問として、全ての事実は主観であるとポストモダンから批判された歴史学に触れているのも面白い。実際、歴史学側のポストモダンへ対する反論と重なる議論になっている。2018/07/11

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