感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
60
パラ読みしていたものを通読。本書は1983年の作でハンガリーを追われた学者の著。ソ連型社会をエリートと官僚による全体主義体制と捉え、「欲求に対する独裁」体制と呼ぶ。当然東欧社会主義もその影響下にある。ここでは計画に必要な指標を得るための「市場」がほぼ破壊され、労働力市場も成立せず(つまり賃金闘争もない)、人々は分断されアトム化しているとする。社会主義国に身を置いていただけあり状況の説明は具体的で、ハイエクの直感的批判よりはるかに問題の本質をえぐっている。もはや崩壊した訳だが、断末魔の叫びを聞くようだった。2023/08/01