出版社内容情報
〈新しい思想史学〉の旗手として思想界に巨大なインパクトを与えたスキナー.専門の政治思想史を超えて諸科学の領域を横断しながら,既存の諸理論へのアンチテーゼとして提示された理論的核心を集成.
内容説明
「新しい思想史学」の旗手として欧米の思想界に巨大なインパクトを与えたスキナー。専門の政治思想史を超えて、哲学・文学・社会学など人文・社会科学を横断しながら既存の理論へのアンチテーゼとして提示された彼の思想史学は、さまざまな分野で波紋をまきおこした。新しい思想史をめざすその理論的核心を明確にし、彼をとりまくさまざまな批判に応える。
目次
序 ペンと剣―クェンティン・スキナーの政治分析(ジェームズ・タリー)
1 思想史における意味と理解
2 動機、意図およびテクストの解釈
3 「社会的意味」と社会的行為の説明
4 政治思想と政治的行為との分析における諸問題
5 批判に応える
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
7
所与の作品の中にどう考えても矛盾があっても、絶対に一貫性は無ければならないのだ!という思い込みの愚かさを鋭く指摘する。「一貫性の神話が生み出す形而上学的信仰にはまた別の形態がある。それは、解釈者が義務として明らかにするにふさわしい何らかの「内面的一貫性」を作者が示しているはずだというにとどまらず、その作業に対して、所与の作者の作品が実際もっているかに見える矛盾が作り出している見かけ上の障壁は、矛盾が実は矛盾ではありえないがゆえに本物の障壁ではない、というものである。」2021/08/12
D.Okada
6
一部再読。「ケンブリッジ学派」のスキナーの思想史の方法論。それは「歴史的再構成」と言えるもので、テクストの理解は、それが何を意味すべく意図されたものであるか、特定のイシューに対する特定の意図を理解することにあると。その対極は、レオ・シュトラウスの方法で、解釈者の問題意識が先行すると恣意的な解釈に陥ってしまうため、スキナーはそれを「テクスト中心主義」として批判する。スキナーのそれはどこか「相対主義」にも聞こえるし、シュトラウスの「行間を読む」作業も抽象的。難しい。あれか、これかではないけれど。2013/04/29
hryk
3
思想史研究の方法論をめぐるスキナーの立場とそれへの批判と応答。思想史研究者が過去のテクストを研究対象とすることとは、それが書かれたときの主体の意図を理解すること、そのためにはテキストが書かれた慣習のなかにテキストを書くという行為を位置付けること。これがスキナーの方法論の要点だが、特に批判に答える第V章では、オースティンの言語行為論、クワインの全体論、デイヴィドソンの解釈理論、デリダ、ガダマーなどが動員されて、当時の思想的背景を思い起こさせる。2018/07/29
ヨシツネ
2
スキナーは有名 背景に注意2018/05/24
ねこみ
0
ポストモダン2012/04/12