出版社内容情報
カフカ，リルケ，マイリンクらの作品にしかけられた世紀末都市の謎．ユダヤ人街，墓地と石切場，迷路と通り抜け……マイナー文学の実験は，言語と表象の20世紀を告げていた．
内容説明
カフカ、リルケ、マイリンクらの作品に埋めこまれた都市の書割り―。ユダヤ人街、墓地と石切場、迷路と通り抜け。世紀末プラハのあちこちにしかけられた謎に、「都市の測量技師」たちと共に挑戦しよう。失われつつある名称、病いと死の隠喩、そして「アメリカ」という外部。マイナー文学の実験は、言語と表象の２０世紀を語っていた。
目次
言語・街衢（バベルの都）
宿痾・闇（ユダヤ人街の幽霊；プラハの夜１９０８年）
区域・窖（子供と門衛のいる風景；死と石のトポグラフィ）
身体・交通（バルト海の白い船；夢のパリ・アメリカの夢）
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tonex
4
カフカや、カフカと同時代の人によってドイツ語で書かれた文学作品の中の、道路標識、記念碑、ユダヤ人街、病気、照明、公園、門衛、墓地、石切場、海水浴場、船、橋などのイメージを通して、プラハという都市の闇を照らし出す。2015/12/20
ぷほは
0
カフカとマイリンクとリルケを並べられると違和感があるが、プラハに生きた作家たちの物語から、チェコ人・ドイツ人・ユダヤ人たちの言語上の、政治上の、宗教上の、そしてなによりも社会上の対立や混成具合を該博に論じていく。巻末の参考文献に日本語で読めるものを載せる気がない、もはやきっぱりとした態度から分かるように、著者のドイツ語文献に関する知識は本物である。カフカの『審判』における石切場での処刑、『掟の門』における門番がチェコ人であることなどの意味には蒙が啓かれた。リルケについては、未だこちらが勉強不足なようだ。2015/11/01
nekotennperu
0
カフカ文学の深層に迫るための本。2023/01/12
