出版社内容情報
戦後40余年をへたいま，なぜ南京大虐殺が問題にされるのか．虐殺の規模と実態はどうだったのか，なぜ虐殺が行われたのか．ブックレット『南京大虐殺』に，その後の新史料や現地調査の成果をもりこみ，全面的に書き直した新版．
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
扉のこちら側
70
2016年823冊め。日本軍は外国人記者をご丁寧にも退去させてから大虐殺を行っている。しかし南京に残った22人の外国人（医師や宣教師、赤十字委員等）の証言により、日本軍による南京占領の5日後（1937年12月18日）付のニューヨーク・タイムズでその蛮行が報じられている。知らぬは日本人のみ。本書には南京占領10日後のご遺体の山の写真が掲載されている。死者や行方不明数の論議はあろうが、事件を「全くなかった」とは考えられないと思う。2016/10/10
gollum
13
歴史のおさらい第四弾。合わせて、秦郁彦『日中戦争氏』第七章2-3南京に向う追撃戦・2-4南京占領と残虐事件、本多勝一『中国の旅』“南京”を通読、比較した。藤原彰氏のブックレットは64頁という小冊子ながら、この虐殺事件の概要と原因の本質の分析がよくまとめられ、副読本や議論のスタートには最も適している。私自身は『中国の旅』を中学生時代にリアルタイムで読んだ世代で、「南京事件」とはワーストコンタクトだった。いまだに悪夢を見ることがあるが、この本の抑制された叙述なら思春期の子たちの心に傷を残すこともないだろう。2015/09/10
加藤久和
10
目もくらむような杜撰な戦略と国際法無視のデタラメ。南京事件は日本軍の退廃ぶりが頂点に達した時に発生した惨劇という印象だ。司令部が「捕虜は作るな。処分せよ。」と命令を発した時点で日本軍による中国人の大量虐殺は不可避であった。南京事件の原因として著者が指摘する、日本軍における非合理な精神主義の強調と中国に対する蔑視感・差別感などは、事件から80年近くたった今も日本人の心性として何も変わっていない。私達はこの事件から何も学んでいない。南京事件について簡潔に必要にして十分に解説されており、是非再版が望まれる。2015/05/20
雨具
2
さくっと読める。自虐史観はダメだから教科書変えるとか話題になってるけど、「臭いものに蓋」はダメだと思うな。2013/02/05
