出版社内容情報
いま歴史教育で日本の近現代史像をどう描けばよいのか.明治維新から戦後まで研究の到達点を踏まえて,司馬遼太郎氏による明るい明治,暗い昭和という歴史像を検討.同時に氏の亜流「自由主義史観」の内実を問う.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スミノフ
9
抑制されたトーンで冷静に分析を加えた良書。司馬遼太郎好きとしては「う〜ん、そうかなあ。司馬さんも、明治時代は庶民に犠牲を強いた時代として冷静に描いているんだけどなあ」と思ったのも正直なところ。ですが、事実に基づいて批判を加える本書は、傾聴に値すると感じました。2006/03/21
出世八五郎
3
日清戦争の時に旅順で虐殺が行なわれたという記述あり。
星規夫
2
小冊子戦術第二十八弾。歴史学的見地からの司馬遼太郎批判。著者の司馬遼太郎に対する敬意が伺え、冷静な筆致の批判であるように思われた。それにしても、藤岡信勝はロクでもないなあ。2012/08/30
ゆきかぜ
1
分量・内容的に非常に読みやすい。司馬ファンにも一度読んでほしい。2012/04/20
カヤック
0
「明るかった明治時代と暗転した昭和時代」――このような対比的理解に象徴される司馬史観を批判的に考察する小冊子。そして、本書の本当の意図は、司馬史観というよりも藤岡らの自由主義史観を批判的に検証することにある。「暗い昭和」の史的淵源はむしろ明治期に見いだされるというのが著者の主張。本書でとくに有意なのは、世界システム論を踏まえて明治維新を国際比較した「明治維新の世界史的位置」の項であろう。拙速な「主張」ばかりで「議論」が軽視される当代からすれば、ネット普及以前の保守系知識人がまだまともに見えてしまう。2016/01/20