岩波ブックレット<br> 教科書問題―家永訴訟に託すもの

岩波ブックレット
教科書問題―家永訴訟に託すもの

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ A5判/ページ数 62p/高さ 22X16cm
  • 商品コード 9784000031813
  • NDC分類 375.9
  • Cコード C0336

出版社内容情報

歴史学者家永三郎氏が原告として,教科書訴訟を提起したのは1965年.以後,教科書検定はどう変化してきたか.裁判では何が争われてきたか.家永裁判の歩みを戦前・戦後の教育史の中で位置づけ,その意義を示す.

目次

1 戦後教育改革と教科書
2 教科書検定の問題性
3 家永裁判の経緯
4 第2次教科書問題と第3次訴訟
5 これまでの教育裁判の判決の特徴
6 最近の検定動向と新検定制度
7 検定の根拠を問い直す

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

扉のこちら側

60
2017年66冊め。教科書検定というと歴史認識の面で社会科だけが注目されがちだが、国語や理系科目でも当然行われている。常々惜しいと思っていた朝永振一郎氏による「高校生のものを考えさせるための」物理教科書の検定却下の件。後にノーベル賞を取ると知っていたら掌を返したのだろうが。副題の家永訴訟については67年の検定について最高裁まで引き延ばした挙句、82年になって「今更訴えても利益なし」との判決はなかろう。 2017/01/21

katoyann

20
家永教科書訴訟第三次訴訟判決が出る時期の談話をまとめた本。教科書訴訟が提起した問題は、学者の思想・信条の自由ならびに学問の自由に抵触し、検閲に該当していたということに注意が集まる傾向がある。しかし、戦時性暴力や虐殺も含め、日本軍の実態についての記述を修正するように迫り、その記述に関して不合格を出すことは、国民の学問の自由が国家権力の恣意により侵害されていることを意味する。1980年代も先の戦争につき、「侵略」を「進出」と書き直させる検定が問題となり、中国と韓国から強い批判を浴びた。学問の自由を考える一冊。2021/10/12

無識者

11
教科書検定制度に対して3度も訴訟を起こした家永氏の生き方に感動してしまった。どこまで行っても行政権力は優位でいたいのだろうか…記述を認められた部分もあるけれども、結果で言えば検定に対して違憲判決が出されなかった。これは3度目の訴訟中にかかれたものだ。確か判決は、記憶は定かじゃないが、一般の書物として出版できるから表現の規制を受けないというものだ。教育の素材としての教科書でなく、教科書のための教育が続く。今となっては結局旧教育基本法は根付く前に葬り去られたしまった。人材育成よりも体制維持が大切。2016/02/02

ゆえじん

4
家永教科書裁判について堀尾輝久が書いたということで購入。全体としては既知の知識が多かったが、堀尾が教科書を多様な教材の複合的なメディアとして捉え、教科書の自由発行・自由採択を方向として目指しながら、執筆者によるフィードバック経路を確保する。いわばアップデートを繰り返す有機的な教科書を構想していたという発見があった。現在から捉え返すと、学問の論理を市場の論理に服従させない抵抗とも理解できるだろう。しかし、知の断片化を教科書的知の本質だとするのはどうだろう。試験が知の断片化にどう作用するか詳細に検討したい。2019/01/17

Takao

3
1992年2月20日発行(初版)。家永教科書訴訟第3次訴訟最高裁判決を前にした出版。家永訴訟の概要や教科書問題の略史などが述べられている。発行から24年を経て、現在の教科書問題はその様相を異にしている部分もあるが、本質は変わっていないと思う。1970年の杉本判決をはじめとした教科書裁判の諸判決、旭川学テ判決なども改めて読んでみたいと思った。2016/08/18

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/2427461
  • ご注意事項