出版社内容情報
民族・宗教・国家といった多様な問題が交錯するパレスチナ問題を,パレスチナの生活を多数の写真とともに具体的に描くことによって考察し,多民族・多文化共存の原理を探る.中東問題,民族・宗教問題を考えるための必読の書.
内容説明
1993年の暫定自治合意後も戦火がたえることのないパレスチナ。サイードはパレスチナからアメリカへの政治的流氓の体験をふまえ、パレスチナ人の生活を内側から描くことによって問題の本質に迫った。多数の写真とともに問いかける本書の記述は具体的であり、予備知識がなくても心を打たずにはおかない。中東問題だけでなく、現在の民族問題、ボーダーレスの世界を考えるための必読の書。
目次
1 現状
2 内側の諸相
3 創発
4 過去と未来
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鯖
22
本棚から引っ張り出して再読。30年も前の本なのか。サイードの手によるものだけれど、学術書というよりはパレスチナに生まれた人による哀しみが先に立つ。子どもたちの笑顔や畑、砂漠、日常生活等の写真が多数収められ、当時もひどい扱いだったのだろうけれど、そのあと起きたことの数々を思うとひたすらに哀しくなる。2023/10/22
水無月十六(ニール・フィレル)
1
タイトル通りの内容。パレスチナ出身である筆者が、パレスチナ人とはと言うテーマでパレスチナの中身を描き出している。訳者があまり乗り気でなかったからか(あとがきに専門外と言う言葉が二回出てくる)、もともと難しい表現なのか全体的に読みづらい感じはする。自分たちの、例えば私たちなら日本人としての存在を否定されるとはどう言うことなのか、考えてみたくなった。筆者は国際的な論客であると訳者があとがきで書いてあったが知らなかったのでもう少し調べてみたいと思った。2014/07/10