出版社内容情報
『経済学批判要綱』から『資本論』へとマルクスは「退歩」したのか.鋭い現代的問題意識をもちつつ『資本論』成立史と経済学の方法研究に生涯を捧げた経済学者の時代を画した諸論考.今こそマルクスを読む意味を問う.
内容説明
『経済学批判要綱』から『資本論』へとマルクスは「退歩」したのか。エンゲルスとの関係はどうであったか。するどい現代的問題意識をもちつつ『資本論』成立史と経済学の方法研究に生涯を捧げ、急逝した一経済学者の主要論文を網羅し、研究の軌跡をたどる。時代を画した諸論考から、今マルクスを読む意味がひしひしと伝わる。
目次
第1部 経済学批判体系と『資本論』
第2部 『資本論』第三部原稿について
第3部 『資本論』の方法に関する諸問題
第4部 『資本論』成立史をめぐる諸問題―シンポジウム『資本論』成立史から
付録 「資本制的蓄積の絶対的・一般的法則」の定式化の「訂正」について
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Mt. G
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いわゆる「プラン問題」を取り扱った専門書。どこまでも文献学的に緻密なその作業から、著者の誠実さがうかがいしれる。少なくとも『資本論』第1~3部の構成と『資本論』成立史に関する基礎知識が頭に入っていないとついていけないと思う。それでも、たしかに上級者向けではあるが挑んで損はない第一級の名著である。『要綱』から『資本論』に至るまでのマルクスの思考(知的葛藤)を疑似体験できる、と言っても大げさではないだろう。ちなみに、著者は最終的に『資本論』よりも『要綱』に軍配を上げている。類書にない最大の特徴の一つであろう。2015/10/08