内容説明
子どもが本を読むことの大切さは誰もが口にするが、つきつめて考えると、それはなぜなのか、心底から納得できる答えを得るのは案外むずかしい。長年、大学生を教え、「子どもの本の会」を主宰してきた著者が、このテーマに真正面から取り組み、たどりついた成果を、講演のようなやわらかい語り口で説く。
目次
第1章 読むことはなぜ必要なのか
第2章 赤ちゃんと絵本
第3章 絵本という楽園の罠
第4章 「文字を読む」ことと「本を読む」こと
第5章 読めない理由
第6章 読書力とは何か
第7章 ほんとうにいい本を手渡すために
著者等紹介
脇明子[ワキアキコ]
1948年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修了(比較文学)。ノートルダム清心女子大学教授。「岡山子どもの本の会」代表。岡山県子ども読書活動推進会議会長
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HiroNuma7
37
図書館本。ちょっとイメージとは違ってましたが、面白かったです。読むことが如何に良いことなのかを全編を通して語られています。子どもに本を読ませたほうが良い理由、学生が文字が読めるのに本が読めない理由など、興味深かったのですが、中年の私では手遅れなのかなぁと少し悲しくなりました。物語を読むことは、自分以外の人間の意識に入り込みつつ、同時にそれを俯瞰して観察する作業であるという作者の言葉には共感しました。読み続けたら、いつか情景を想像しながら読めるようになるのかなぁ。。。2016/12/22
ほたて
31
私の母は、昔から伝わるお話を語り継いできた世代と、お話を聞かせることの大切さを知っている世代のブラックホールのような狭間の世代。読書の楽しさを自分で身につけた私は、自分の子供もいつか自然に…と思っていたけど、そんなに簡単にはいかないみたい。私も自分で身につけたと言っても、失敗や回り道をいっぱいしたし。ちっこい子に『くまのテデイ・ロビンソン』を読んでみようと思います。おっきい子はコロコロコミック見ながらでも、耳は聞いてて面白そうって思ったらまんがを見るのをやめるから。2013/08/12
みき
28
絵本は好きだったけど本は読めない。字は読めるけど本は読めない。ーそんな子どもや大学生が増えている中、本の重要性を考え直し、本への導き方が考察された一冊。 私は、子どもにとっていい本は「読む力を育ててくれる本であるべきだ」と書かれた部分に感心した。小中学生の自分を思い出してみると、人生で役に立つから読みなさいと言われた本よりも、読むことの楽しさを味わえる本のほうが為になった気がする。 また、自分が子供を育てる立場になったときに読み直すと響く内容が増えそうだなと思った。思い出して読み直せるといいな。2017/10/05
anne@灯れ松明の火
28
隣町の図書館で、脇さんの講演会チラシを見つけた。全然知らない方だったけれど、演題がこのタイトルと同じ「読む力は生きる力」で、興味を持った。講演を聞いてことのある読友さんにも「良かったよ」と聞き、申し込んだ。そして、得意の予習。読みやすい文章なのだけれど、ちょっと時間がかかった^^; 普段小説ばかり読んでいるからかな。まさに読む力が低下しているってこと?^^; 読むことではぐくまれる想像力。その想像力が人生には不可欠なんだろうなあ。2012/11/29
Bridge
23
再び脇さんのお話を聴きにいくので、再読。10年以上も前から警鐘を鳴らしてくださっているにも関わらず、世の中の動きは子どもの「読む力」を奪う方へとすすんでいる。小児科学会からの提言も、もっともっと知られるべきだと思う。2018/03/09