出版社内容情報
1930年代から60年代にわたる業績を,歴史的考察・批判的社会学・質的調査の技法・社会学と隣接科学・社会学の社会学,の5部門に分類し,その多彩な研究の全体像を浮かび上らせる論文集.現代社会学への最良の道しるべ.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
5
統計データを用いた潜在的構造分析で、量を単位に社会にアプローチする著者の社会学は数理社会学と呼ばれる。一方、定量分析の限界に面する著者は、社会学の隣接諸科学からの接近も試みる。「マリエンタールの失業者」では、個々の経験を一般化する統計理論で検証不能なデータに、これが採用される。が、著者(と彼の属するコロンビア学派の調査法)の演繹的な理論的前提が前景化すると(理論の斉一性)、定性的な分析的帰納法が提起される等、社会調査自体に潜む調査する側の問題が議論の対象に加わる。本書を読むとその流れが背景に透けて見える。2021/11/04