乳と卵

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  • サイズ B6判/ページ数 138p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163270104
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

娘の緑子を連れて豊胸手術のために大阪から上京してきた姉の巻子を迎えるわたし。その三日間に痛快に展開される身体と言葉の交錯!
文筆歌手を自称、シンガーソングライターとして活動しながら三年ほど前からブログで日記を発表、小説二作目で栄冠を射止めた。初潮を迎える直前で無言を通す娘と豊胸手術を受けようと上京してきた母親、その妹である「わたし」が三ノ輪のアパートで過ごす三日間の物語。全編大阪弁が炸裂するが、文学的に見れば、樋口一葉ばりの息の長い文体が特徴。三人の登場人物の身体観と哲学的テーマが鮮やかに交錯し、魅惑を放つ。

内容説明

姉とその娘が大阪からやってきた。三十九歳の姉は豊胸手術を目論んでいる。姪は言葉を発しない。そして三人の不可思議な夏の三日間が過ぎてゆく。第138回芥川賞受賞作。

著者等紹介

川上未映子[カワカミミエコ]
1976年、大阪府生まれ。「夢みる機械」(2004年)「頭の中と世界の結婚」(2005年)などのアルバムをビクターエンタテインメントより発表。2006年、随筆集『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』をヒヨコ舎より刊行。2007年、初めての中篇小説「わたくし率イン歯ー、または世界」が第137回芥川賞候補となる。同年、坪内逍遙大賞奨励賞を受賞。2008年、「乳と卵」が第138回芥川賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

hiro

236
BOOK TVで、歌手で女優で芥川賞も受賞してる川上未映子という人を知って、受賞作品を読んでみたろと思っていたんやけど、たまたま図書館にあったんので、内容も知らず借りたんやけど、句点がなかなか出てけへん独特の文体やし、大阪弁やし、母は豊胸手術を受けようとし、娘は初潮を迎えようしているという母子家庭のシチュエーションは、男にはついていかれへんかったけど、最後に喋らんと筆談で会話していた娘が母の豊胸手術を声を出して反対して、親子関係が修復に向かって、やっと作品の主題が分かったし、最後には文体にも慣れてしもた。2011/11/11

遥かなる想い

229
遅ればせながら、読んだ。全くついていけなかったのが、正直な感想である。女性が描くbこの世界、よくわからない。文章が長く、何をどう感じればよいのか私には全くわからなかった。 結局著者は何を描こうとしたのだろうか?2010/12/12

とら

124
芥川賞受賞作初読了です。川上さんの本って、何かと受賞するじゃないですか。だから気になってたんです。前にも芥川賞候補の本谷さんの本を読んで、よくわからなかった。これもそうだ。しかも同じ系統のわからなさ。何というか、双方とも筆者さんが女性だからなのか、完璧に女性目線。それに加えて、大人の世界。ちょっと無理がありました。でもこの作品で好きだった部分があって、文体なんです。自分が好きな舞城さんの文体に似てるんです。句読点とかがほとんどなくて、スピード感がある感じ。だから、決して印象は悪く無い。違う作品も読みたい。2012/03/17

nico🐬波待ち中

118
母娘と母の妹、女3人の生々しい会話にドキドキ。「初潮を迎える(←迎えるって勝手にきただけやろ)」前の難しいお年頃の緑子。ペン書きで自分の言葉を伝える緑子と、喋りまくりの母・巻子。母はどうでもいいことばかり喋るくせに大事なことは伝えていない。そんな母にヤキモキしながら緑子もまた自分の気持ちを母に伝えられない。何とも対称的で不器用な母娘が、ラスト、台所で卵を叩き付けぐしゃぐしゃになりながら胸の内を明かすシーンには泣けた。濃くて短い夏の3日間。緑子よ、大人になってもどうかこの3日間のことは決して忘れないでいて。2019/09/16

Willie the Wildcat

107
(知人の紹介)ここまで1文章が長い文章が続くのは初めて。人の心の中を描くにはこれも新鮮、かつ自然にも感じた。タイトルは意味が深い。母子の気持ちが通じるまでの葛藤、緑子の心身における成長における葛藤。特に緑子が自身の心と体を別物として表現しているところは印象深い。卵をつぶし続けて語り合うところも親子の愛情を感じますね。私の場合、息子2人の親のため普段考えることのない”娘の心理”を多少なりとも学んだ気もした・・・、かな。(汗)2011/12/11

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