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実録!少年院・少年刑務所
[著]坂本敏夫 [発行]二見書房
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詳細
【
著者プロフィール
】
坂本敏夫(さかもと としお)
1947年、熊本刑務所官舎で生まれる。ルーツは鹿児島県奄美大島、育ちは東京。
1967年、大阪刑務所看守を拝命、以後、神戸刑務所係長→大阪刑務所係長→法務省法務大臣官房会計課主任→東京矯正管区矯正専門職→長野刑務所課長→東京拘置所課長補佐→長野刑務所課長→甲府刑務所課長→黒羽刑務所課長→広島拘置所総務部長を歴任し、1994年、辞職。
30歳代に勤務した法務省と東京矯正管区では、少年院と少年鑑別所に何度も足を運び、少年少女たちと語りあっている。
【
解説
】
少年院が刑務所と同じだと思ったら大間違い!
犯罪を犯した少年の多くが無罪放免!? 少年刑務所にはほとんど少年はいない!?……元刑務官が、少年院・少年刑務所の意外な実態を語る。これでアナタの少年院のイメージが大きく変わること間違いなし!
【
目次
】
はじめに
序章 凶悪事件を起こした少年たちの行く先
『少年院』と『少年刑務所』はまったく違うもの
少年院は刑務所ではない
少年刑務所は監獄だ!
日本じゅうを震撼させた酒鬼薔薇事件
小学生連続殺傷犯「サカキバラ」こと少年A
残忍な殺人鬼が、普通の少年に戻るとき
医療少年院に行った少年A
「ロールレタリング」という治療法
どうか、まっとうな人間に更生してほしい
山口県光市の母子殺害事件
残忍な犯罪を起こしても「少年法」に守られた少年B
被害者の夫の悲痛な叫びを聞け!
多くの性犯罪者は再犯の可能性大!
千葉県市川市の一家四人殺人事件
死刑執行再開の引き金になった、十九歳の少年C
現在、東京拘置所に死刑囚として拘禁中
ひとり取り残された被害者に、癒《いや》される日はくるのか?
第1章 少年処分の全権限をもつ家庭裁判所の不思議
補導・検挙された少年がたどる道
家庭裁判所の面接で「鑑別所」行きか否かを決定!
シンナー遊びと家出を繰り返すルミの場合
逮捕された暴走族G軍団のタカシの場合
人質を刺殺した十七歳のバスジャック犯・Uの場合
「少年保護」という甘すぎる実態
家裁で審判を受ける鑑別所の少年たち
少年の凶悪事件はなぜ起こる
あいつぐ少年による凶悪事件
なぜ少年には甘いのか
犯罪を犯した少年たちは、ほとんど無罪放免されている!
現行少年院は敗戦の産物
旧少年院は犯罪学校だった!?
家庭裁判所の寛大な処置が少年犯罪の元凶?
エリート裁判官に、アウトローの心情がわかるのか?
少年院に送られていれば、永山則夫事件は防げた
わが子を叱れない親たち
第2章 「少年鑑別所」ではリンチといじめが横行
「少年鑑別所」が“この世の地獄”って本当?
規則正しい生活に感動する鑑別所の少年たち
『ネリカンブルース』にこめられた哀感は過去の話
「少年鑑別所」とはどんなところなのか?
鑑別所の一日のスケジュール
鑑別所で驚くほどの「更生」を見せる少年たち
初めて鑑別所の門をくぐったルミ
きれいな部屋とおいしい食事に感激
すわっ、ウワサの「新入いじめ」か!?
家族画で母親の顔が描けないタカシ
「少年院」以外に送られる少年たち
「保護観察」処分が、全体の四〇%以上を占める
「児童自立支援施設」は昔の教護院
劣悪な家庭環境の少年を収容する「児童養護施設」
【少年鑑別所一覧】
第3章 少年院に送られる少年たち
少年院は全寮制の「集団生活訓練所」
少年院ほど確実に進歩してきた教育施設はない!
フリーターがあふれる時代の異空間
少年院にはどのような種類があり、期間はどれくらいか
ひとりひとりに合わせ、徹底した個別指導を行なう
初等少年院でのカズオの日々
「君を初等少年院に送致する!」
九日間にわたって行なう徹底した「地獄の訓練」
いよいよはじまる集団生活
グループ討論会で大ゲンカ!
父と義母への怒りがなくなる
中等少年院でのノリオの日々
建設機械の運転免許が取れる
つまらない少年院生活に逃走計画を企《くわだ》てる
親父のような教官との出会い
免許試験にパスで自信を回復
特別少年院でのタカシの日々
泣く子もだまるトクショウ!?
カッター訓練で男を磨く
女子少年院でのルミの日々
女子少年院はどこも定員オーバー
自分の母親役になりきる「サイコドラマ」
親の非行が少年の非行を生む
医療少年院でのジロウの日々
天使のような少年たち
出院後の社会生活に必要な事柄をすべて教える
善悪のけじめがつかないIQ40の精神遅滞者のジロウ
みんながジロウのことを考えはじめたとき
運動会で一等賞になったジロウ
退院後、わずか四カ月で戻ってきたジロウ
第4章 全国53の「少年院」をすべて紹介
未来ある少年の可能性を信じて
ひとりの院生に、十人近くの教官が全身全霊で指導
暴力団予備軍を徹底指導! 帯広少年院
大型特殊免許がとれるゾ! 北海少年院
北海道唯一の女子少年院 紫明女子学院
豊かな自然のなかで、働く喜びを実感させる 月形学園
スキー指導を通して心身を鍛える! 青森少年院
宮沢賢治の心に触れさせ、思いやりの心を育む 盛岡少年院
杜《もり》の都・仙台でクラブ活動も盛ん 東北少年院
和太鼓でたくましい精神をつちかう! 青葉女子学院
きめ細やかな指導で非行から立ち直らせる 置賜《おいたま》学院
農業や園芸で、額に汗して働く喜び 茨城農芸学院
林に囲まれた明るい環境が再生への活力! 水府学院
大検・大学合格も夢ではない! 喜連川《きつれがわ》少年院
中学卒業資格取得に全力を尽くす! 赤城少年院
集団心理療法となぎなたで心身を鍛錬 榛名女子学園
老人ホームに訪問介護し、優しい心を育てる! 市原学園
座禅と内観で、すさんだ心を静める 八街少年院
日本最初の少年院であり、少年矯正の手本! 多摩少年院
地域との交流を大切にする医療少年院 関東医療少年院
日本で最初にできた女子少年院 愛光女子学園
大海原の海洋訓練で広い心を鍛える 久里浜少年院
書道・俳句などで豊かな情操を育てる 小田原少年院
情緒障害の矯正に力を入れる医療施設 神奈川医療少年院
コーラスの歌声が高らかに響き渡る! 新潟少年学院
町営の天然温泉で裸のつきあいをする 有明高原寮
施設内のお茶畑で茶摘《つ》みができる 駿府学園
七宝焼《しっぽうやき》で美の心を養う指導を行なう 湖南学院
公《く》文《もん》式学習を行ない、中学教育に力を入れる 瀬戸少年院
暴力団・暴走族からの完全離脱を図る 愛知少年院
資格取得で、将来設計に力を入れる 豊ケ岡学園
徹底した心理療法で問題の改善を図る 宮川医療少年院
一般教員参加の「わかる授業」がモットー 宇治少年院
完璧な医療体制をもつ総合病院 京都医療少年院
日本で最初にできた少年院として有名 浪速少年院
野菜や花を育てることで地道な努力を教える 交野女子学院
地域の工場で作業させ、勤労意欲を高める 和泉学園
一般教師の訪問学習を行なう 播磨学園
農耕実習指導で健全な生き方を学ばせる 加古川学園
多彩な行事が盛んに行なわれる 奈良少年院
ボーイスカウト活動で、奉仕の精神を養う 美保学園
剣道が盛ん! 武道で心身を鍛錬 岡山少年院
原爆被災で多くの犠牲が出た歴史がある 広島少年院
地域での勤労体験で職業意識を高める 貴船原少女苑
洋裁や園芸で優しい女性心を育む 丸亀少女の家
弘法大師生誕の地で社会復帰を目指す 四国少年院
近隣が大勢参加する盆踊りも盛ん 松山学園
奉仕活動で人に役立つ人材に育てる 筑紫少女苑
理容や自動車整備がしっかりと学べる 福岡少年院
登山や海洋訓練を通じ、忍耐力をつくる 佐世保学園
ロールレタリングが最初に行なわれた施設 人吉農芸学院
精神薄弱の男子を根気強く指導する 中津少年学院
近隣高校との意見発表会も盛ん 大分少年院
ボーイスカウト・空手で強く豊かな心を育む 沖縄少年院
沖縄伝統工芸で豊かな情操を養う 沖縄女子学園
【少年院一覧】
【処遇過程の解説】
第5章 少年刑務所の知られざる実態
ついに囚人!「少年刑務所」への道
八つある少年刑務所のなかにいるのは、ほとんどが成人
少年刑務所なのに少年がいない!
保護処分から一転、刑事処分を受ける「逆送少年」
「新入訓練」という地獄のシゴキ
少年刑務所ならではの麗《うるわ》しい伝統とは?
少年刑務所でのコウジとリョウジの日々
連続強盗を働いたコウジ
理容訓練を受けたコウジとリョウジ
ケンカに技官の涙の鉄拳が炸裂《さくれつ》!
理容訓練生の再犯率は、たったの約一〇%
刑務所での少年受刑者たちの生活とは?
狭い空間「ムショの暮らし」
刑務所の仕事にはどんな種類があるの?
作業賞与金はスズメの涙
すべてに影響する「級と札」
賢《かしこ》い「少年ムショ生活」を送るための必須マニュアル
狙いめは「経理」か「炊場《すいじょう》」
「君子《くんし》、危《あや》うきに近寄らず」を守れ!
運悪く、いやな房に入ってしまったら
刑務官との上手なつきあい方
要注意な刑務官
おわりに
【
抄録
】
「少年保護」という甘すぎる実態
家裁で審判を受ける鑑別所の少年たち
さて、鑑別所の門をくぐった少年たちは、予想に反して施設内のきれいなことに驚く。そして、そこから家庭裁判所に向かい、審判を受けることになる。
当然、弁護士もつくわけだが、少年事件は一般に弁護士が敬遠する。やりたくないということだ。
報酬は安く、審判まで三週間あまりと期間は短い。全力をあげてかかりきりにならなければならないので、他にもかかえている民事や刑事の事件がおろそかになってしまう。
いいことがひとつもないのが少年事件だそうだ。
少年審判は裁判官、調査官、少年、保護者、弁護士(付添人)などが着席してはじめられる。証言台もなく、話し合いといった雰囲気である。
少年法では審判のやり方を、どのように決めているかというと、
『審判は懇切《こんせつ》を旨《むね》として和《なご》やかに行なうとともに、非行のある少年に対し、自己の非行について内省《ないせい》を促《うなが》すものとしなければならない』
と規定している。
殺人などの重大事件では、検察官を立ち会わせることができるとされているが、審判はすべて非公開の密室で行なわれる。
被害者、被害者の遺族の傍聴《ぼうちょう》もできない状況であり、審判そのものが和やかな雰囲気で行なわれるので、少年自身が事件の重大性を本当に自覚するかというと、大いに疑問がある。
また、世間を騒がせた大きな事件でも、弁護士がつかないものがあり、事件の真相が解明されないまま処理され、何年も経ってから「犯人ではなかった!」と無実だったことが明らかにされる事件もある。
なお、鑑別所にはつぎの三つの役割がある。
一、家庭裁判所関係の鑑別
家裁から送られた少年を収容し、行動観察を実施しながら専門的知識に基づいて資質を鑑別する収容鑑別と、収容しない在宅の少年を鑑別する在宅鑑別。
二、法務省関係の鑑別
少年院から収容継続や移送の際に依頼される再鑑別。地方更生保護委員会(仮退院を許可する権限を持った機関)、保護観察所の依頼による鑑別。検察庁からの依頼による捜査段階での簡易鑑別。
三、一般少年鑑別
学校などからの要請による心理検査の実施。家出、夜遊び、盗みなどの非行、家庭内暴力、登校拒否などについて一般個人から受ける相談等。
少年の凶悪事件はなぜ起こる
サカキバラ事件が起こったとき、凶悪な少年犯罪が起こるたびに、くすぶっていた「少年法」の改正論議が一気に高まった。
前代未聞の猟奇《りょうき》的大事件の犯人Aが、十四歳の少年だったからだ。
なぜ、十四歳に話題が集まったのか? それは、刑法では十四歳が処罰年齢なのに、少年法で刑罰を科すことができる年齢の下限を十六歳としていたからである。
十六歳未満の中学生は、何をやっても犯罪者として刑罰を受けることはなかったのだ。
「なぜ迴刑法で決まっているのにどうして処罰できないの? おかしいじゃないか」
と思うだろう。法律の適用には、いろいろな原理原則がある。
そのひとつに、特別法は一般法に優先するというのがある。
刑法は犯罪と刑罰を規定する一般的な法であり、対象を少年に限った少年法は、刑法の特別法に当たるのだ。だから少年事件は、少年法が絶対ということになる。
改正論議は、厳罰化に「賛成か反対か」で大いに盛り上がった。
少年問題の専門家と称する者、弁護士などの法律家、人権団体、一般識者などが激論を闘わせたのだが、私はそんな問題ではないと思っていた。