突如、TPP(環太平洋経済連携協定)参加の方針を突如打ち出し、「平成の開国を!」と喧伝した民主党政権。6月の参加決定にむかい、マスメディアもTPP賛成一色に染まっています。しかし、TPP参加は果たして、日本の未来にプラスになるのでしょうか。経済的国益を戦略的に考えた結果、妥当な選択肢なのでしょうか。
グローバリゼーション、自由貿易から日米安保まで、TPP問題を根本から問い直すための必読書を『TPP亡国論』の著者・中野剛志がセレクトしました。
著者・中野剛志からのメッセージ

私は、これまで個人的な諸事情もあって、政府の個別の政策に対する批判はできるだけ控えてまいりました。しかし、今回のTPP(環太平洋経済連携協定)の危険さ、TPPを巡る議論の出鱈目さ、そして財界や主要マス・メディアが軒並み賛成するという異様さは、さすがに常軌を逸しています。物には限度というものがあり、堪忍袋には緒というものがあります。私は、もはや黙っているわけにはいかなくなりました。そこで我が身を省みず、論考を発表したり、慣れない講演をしたり、恥を忍んでインターネットの動画に出演したりしてきました。
しかし、劣勢はいかんともしがたいことから、ついに一冊の新書を書き下ろしました。それが3月17日発売の『TPP亡国論』(集英社新書)です。
TPP問題は、実に根の深い問題です。「自由貿易は交易国相互に冨をもたらすものである」という経済学入門書の言説を信じているだけでは、今回、私たちが直面している問題の解を得ることはできません。世界経済の構造変化を理解したうえで、より戦略的、自律的に日本が生き延びていくために政治、外交、安全保障など広範な知見を総合して考えていくことが肝要です。
そのために必要だと思われる書籍をここに集めてみました。私の新刊『TPP亡国論』とあわせてお読みいただくことで、世界の構造変化や日本が直面する問題の根本が見えてきます。こうした読書が、TPP問題だけでなく、それ以外の政治経済的な問題に対処するにあたっても役に立つものと考えています。
京都大学大学院工学研究科助教 中野剛志
中野剛志(なかの・たけし) プロフィール
1971年、神奈川県生まれ。
京都大学大学院工学研究科助教。東京大学教養学部(国際関係論)卒業。エディンバラ大学より博士号取得(社会科学)。経済産業省産業構造課長補佐を経て現職。専門は経済ナショナリズム。イギリス民族学会Nations and Nationalism Prize受賞。
主な著書に『国力論―経済ナショナリズムの系譜』(以文社)『自由貿易の罠―覚醒する保護主義』(青土社)など。

