萱野稔人 津田塾大学准教授
水野和夫 エコノミスト
いま注目の論客二人が鋭く喝破!
なぜ円安誘導だけでは日本経済は浮上しないのか?
なぜゼロ成長時代にルール策定力が切り札になるのか?ほか
●資本主義の大転換期の必読書!
歴史的・思想的な視点をマクロ経済分析に持ち込み、金融危機や先進国総デフレ化現象を言い当ててきたエコノミスト・水野和夫が、自らのバックボーンとする哲学者・萱野稔人とともに「成長なき時代」への処方箋を描きました。
●水野と萱野が選書!――「経済学」的常識を超えていくために
現在は四百年に一度の資本主義の大転換期。こういった時代には、いったん資本主義の根源までさかのぼり、歴史学や国家論などさまざまな道具を駆使して、世界経済の潮流を読み解く必要があります。
集英社新書『超マクロ展望 世界経済の真実』の刊行を記念して、著者ふたりが既存の「経済学」的常識を超えていくための書籍を選び、皆様にお届けする運びとなりました。
●著者コメント
<<水野和夫 「成長なき時代」の思考の糧として>>
既存の経済学や金融理論では説明しきれない経済事象が多すぎる。証券会社のエコノミストとして経済分析を日々行うなかで、そのことを痛感し、自分の行ってきた経済予測にも手詰まりを感じるようになったのは、今から十五年ほど前のことです。
しかし、意外なところに、経済の大潮流を読み解くヒントがありました。書店の棚です。たまたま手にとった、投資とは関係のない歴史書や思想書の類、具体的にいえば、歴史家ブローデルや世界システム論で知られるウオーラーステインの著作など、今日、まさにこの棚に並んでいる書籍です。それらを夢中になって読み漁り、近代社会システムや資本主義の本質について私は学んでいきました。そこからわかったのは、一九七三年以降の世界経済が、過去四百年とは違ったレールの上を走っているという厳然たる事実です。
こうした読書のなかで萱野稔人さんの国家と資本主義をめぐる考察にも出会い、大変な刺激を受けてきました。今回、萱野さんとの共著の刊行記念として、既存の経済学を超えるヒントを満載する本をみなさんにご紹介できるのはこのうえない喜びです。ここに並ぶ文献が「経済成長なき時代」を生きるみなさんの糧になることを願ってやみません。
<<萱野稔人 市場の枠を超えて、超マクロに経済を考える>>
私がなぜ経済について議論する際に「国家」の問題を重視するのかというと、「資本主義」を「市場経済」と同一視するような見方が日本ではものすごく強いからです。これは経済界だけでなく、論壇や人文思想界でも変わりません。そこでは、いまだに資本主義と国家は対立するものだと考えている論者が後を絶たない。しかし、そうした見方は根本的に間違っています。今回の金融危機で、アメリカの金融機関に莫大な公的資金が注入されたことからもわかるように、市場経済は、税という非市場的なお金の流れがなくてはなりたたないものです。また、資本主義の歴史を眺めれば、市場が自立的に、純粋な所有権の交換として成立したことは一度もなく、つねに世界市場の枠組みは覇権国による非市場的な力によって決定されてきました。
資本主義にはそうした非市場的な力が含まれているということを基本的な出発点として、エコノミストの水野和夫さんと2年間、議論を積み上げてきました。それがこのたび出版された共著『超マクロ展望 世界経済の真実』です。そのなかでお互いに参照した文献などを今回、みなさんと共有したいと考えました。世界史的、人類史的に近代の資本主義をながめていくこと、つまり「超マクロ」に世界経済の潮流を展望し、経済学的な常識に挑戦していくこと。こうした「超マクロ」な視点が、時代の転換期にある現代には不可欠です。
●著者プロフィール
水野和夫(みずの かずお)
1953年生まれ。エコノミスト。埼玉大学大学院経済科学研究科客員教授。元三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフエコノミスト。早稲田大学大学院修士
課程経済研究科修了。著書に『人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか』『100年デフレ』など。
萱野稔人(かやの としひと)
1970年生まれ。哲学博士。津田塾大学国際関係学科准教授。パリ第十大学大学院博士課程哲学科修了。著書に『国家とはなにか』『カネと暴力の系譜学』
『権力の読みかた』など。