今こそ!人文書宣言第14弾
「好きか嫌いか、べつにして、いま、もう一度、マルクスと「共産主義」をまじめに考えてみる。」
「共産主義」
――
私たちの日常から、とても、遠い言葉。
教科書とかで読んだことがある気がするし、
歴史的な事実としては、確かに、知っているかも。
かつて、世界の3分の1を、そんなイデオロギーで支配した勢力があった。
ソ連は凶悪に君臨し、中国はオリエンタルでたまらなく、キューバやベトナムが希望の星だった。共産主義を目指した人たちは、私たちの住む日本にも、多くの西側先進国にも、ちゃんといた。実は、結構な人数で。
世界は、赤い旗と緑の服で溢れていた。しかもそれが、割と希望に満ちて見えた、こともあったっていう。
でも、結局、数千万もの人が死んで、貧しくて不合理で、おかげでソ連が倒れて、他の国も倒れて、もう20年。今や、中国は全然共産主義な感じがしない。キューバは明るく楽しそうだけど、北朝鮮は……、哀しすぎる。
日本や西側で、共産主義を夢見た人たちも、張り付いたような笑顔と殺し合いを残し、一部が立派な大人にもなった。
とどのつまり、死体の山と絶望の渦を残して、「共産主義」という言葉は、もう、すり減りきってしまった。
でもでも、本当にそれだけだとは、言い難い。反貧困でネオリベ批判、反グローバリズム、反資本主義……。特にこの10年弱、いろんなところで、世界中で、ささやかれ始めた「反」であったり、「批判」であったり。共産主義とかいわれると、どうも警戒されるから、アナーキズムとか名乗ってみたりしているこれらの運動。
今、そんな運動が、たとえば「もうひとつの世界は可能だ」って言うときの、「もうひとつの世界」、それを目指すもろもろのことを、昔は、「共産主義」って呼んだんだ。
「共産主義とは、われわれにとって成就されるべきなんらかの状態、現実がそれに向けて形成されるべき何らかの理想ではない。われわれは、現状を止揚する現実の運動を、共産主義と名付けている」(『ドイツ・イデオロギー』)
「反××」だけじゃ、物足りない。
だって、その先が見えないんだもの。
自分たちは何を目指したいのか? 何を目指すべきなのか? そもそも、何をしたいのか? その「何」を私たちは、今、改めて「共産主義」と名付け直して、みたい。
もちろん、同じ旗の下で、多くの人たちが袋小路に突進し、地獄を見た過去も、忘れられない。むしろ、「もうひとつの世界」を目指すことが、そんな隘路に迷い込む可能性を、いつも持ってるからこそ、共産主義という言葉、敢えて使うべきなのかもしれない。
このブックフェアでは、広い意味での共産主義に関連する本を集めてみました。ソ連や中国の無惨な歴史を扱った本も、日本の学生運動も、アナーキズムも、反グローバリズムも。理論書に伝記、運動の当事者による手記などスタイルも多様です。ただ、主に20世紀に書かれた、あるいは主に20世紀を対象にした、これらの本は、いずれも、「現状を止揚する現実の運動」を担わんとした人たちの記録であり、報告です。その一冊からでも、なにがしか、共産主義について、今までと違った印象を持たれ、そこから、新しく何事かを始める、きっかけをつかんでもらえたら、私たちにとってそれは、望外の喜びです。
| ★『2010年代を考える』制作委員会プレゼンツ。★ |
| (『2010年代を考える』制作委員会:ゼロ年代から10年代へ。哲学・思想から資本主義、戦争と平和、テロ、沖縄、性、食事、飲み会などあらゆるジャンルでいまという「時代」を考えるために結成されたユニット。
・20代から40代までの本格的に時代と取り組む硬派な新聞社記者、出版社編集者ら匿名の複数名のみなさんで構成されています。) |
【ブックリスト】
リスト1
■マルクスを知るために
リスト2
■アナキズムと共産主義(コミュニズム)って?
リスト3
■現代に生きる「思想」としてのマルクス主義・共産主義編
リスト4
■史上初の「共産主義革命」、ロシア革命を知るために。
リスト5
■革命家といえばゲバラ!
リスト6
■そういえば、新左翼ってなんなの?
リスト7
■「革命」の狂気だったのか? 「赤軍」
リスト8
■学生運動を振り返る。
リスト9
■「スターリン」と「毛沢東」を知る
リスト10
■「未来」に向けて、じっくりと考えるために